KANEKOのジェフ雑談

ジェフを定点観測。戦術的だったり、スポーツ科学的だったり、叙情的だったり。

【ジェフ雑談】夏の補強ポイント展望&2022天皇杯2回戦vsツエーゲン金沢(あまり覚えてない)

天皇杯vs金沢

水曜ナイターは今季参戦できていなかったのですが、今回はタイミングに恵まれて参戦。

 

フクアリに到着して入場しようというまさにその時、スタンドからの歓声が聞こえてきました。

残念、見逃してしまいましたが、風間のクロスから櫻川ヘッドで先制のようです。入場すると、佐々木がちょうど担架に乗せられるところでした。試合での負傷者があまりにも多すぎますね。監督、コーチ陣も難しいところです。佐々木が仮に仙台戦に間に合わないとなると、WB問題はより一層深いものになります。右西久保、左アウベスが最有力でしょうか。ただ、比較的軽傷そうな福満が間に合えば、左は福満でしょう。仙台戦の強度で西久保が90分持つかは微妙なところなので、矢口のメンバー入りもあるかもしれません。

 

この金沢戦では、松原が初出場。試合を通してビルドアップやフィード精度の高さを示しました。コーチングもよく通り、良い経験になったでしょう。新井章太の姿から多くを学び、次代の正守護神へと育ってほしいですね。

先制後、ジェフはチャンを右、鈴木大を左に配しました。チャンを中央に置かなかったのは意外でしたが、試合後の尹監督のコメントからWB起用の可能性を探っていたことがわかりました。チャンといえども流石にWBは厳しそうですが。

前半を通してジェフが支配する展開でした。完全に田口が無双状態。金沢は昌平高校出身のドリブラー須藤や丹羽を中心に攻めようと探りますが、田口には全く歯が立ちませんでした。

 

ハーフタイムを迎えたタイミングでは正直負ける気はしませんでした。後半にブワニカを投入した後は、なかなか起点が作れなくはなったものの、相手にチャンスをほとんど作らせず時間が経過。58分に金沢が豊田を投入した後も、流れが大きく変わったわけではありませんでした。強いて言えば、田口が倒されたところで逆にファウルを取られた判定あたりから嫌な空気感はありましたが。

豊田にワンチャンスを沈められると、84分にジェフはU-18の新明を投入。天皇杯にのみ登録された選手ですが、積極的にボールを引き出していて、非常に良い働きをしたと思います。ポジション適性はわかりませんが、人数が少ない状況なので、リーグ戦に2種登録しても良いのではないでしょうか。

新明の投入から流れを取り戻したジェフでしたが、アディショナルタイムスローイン。ロングスローがファーに流れると、フリーでの折り返しから再び豊田のゴール。逆転されてしまいます。セットプレー守備でファーが空いてしまうのは、開幕戦の失点含め今季何度も見ている形ですが、完全に空けてしまっていました。

そのまま試合は終了。連戦の中で延長に持ち込まれるよりはマシだったと思いたいところです。重要度が高いのは仙台戦ですからね。

 

 

夏の補強ポイント〜妄想を添えて〜

まだ夏のウインドーまでは時間がありますが、負傷者が相次ぐ状況もあり、積極的に補強に動く可能性も高いのではないでしょうか。

人数バランスの面で言うと、補強ポイントはCBとWBでしょうか。

WBに関しては、そもそも適性のある選手の絶対数が少ないので、選手を見極めて獲得する必要性があります。

上位カテゴリーで出場機会が少ない選手を見たときに、このポジションで一番に思い浮かぶのは昨季レンタルで加入した鹿島の小田でしょう。育成型期限付き移籍の対象になるので、ウインドー外での獲得も可能です。ユン監督の戦術も理解しているはずですし、すぐに順応できるでしょう。

ジェフ所属歴がある選手繋がりで言えば、柏の北爪や広島の茶島もWBができそうです。両選手とも、30代に突入してJ1での出場機会が限られているため、移籍を望んでいる可能性もあるかもしれません。と言うか、北爪が30歳なことに驚きました。

若手だと、FC東京の蓮川が欲しかったのですが、グルージャに取られていました。明治→F東のSB出世コースを歩んでいる選手です。

C大阪から鳥栖へレンタル中の西川潤は尹監督と所属はギリギリ被っていませんが、もしかしたら練習生時代に見ているかもしれません。こちらもリーグ戦での出場が少ない選手ですが、獲得は厳しいでしょうか。ただ、両チームとも近年ジェフとの関わりが多いチームなので、期待してしまいます。鳥栖は多く若手を抱えているチームなので、一人くらい貸してくれるかもしれませんが、プレースタイルがわからない選手が多いので割愛。

同じくアタッカー寄りの選手だと、川崎の永長や横浜FMの樺山、広島の浅野らは出場機会が限られています。浅野はともかく、後の二人がWBをしている姿は想像できませんが。

退団が噂されるC大阪の乾は、下位リーグへの移籍が前提であればジェフは有力候補ではないでしょうか。WBは厳しそうですが。

有名どころだと、名古屋の齋藤学も出場機会を減らしています。いたらワクワクする選手です。同じく名古屋の内田宅哉も欲しいのですが、レンタル中なので再レンタルはなさそうです。

 

全く噂も何も出ていない選手たちを勝手に欲しがっていますが、サポにできることは今いる選手を最大限応援するのみですね。

もし加入する選手がいれば、同様に応援していくのみです。

 

 

 

 

【ジェフ批評】2022第18・19節vsV・ファーレン長崎・水戸ホーリーホック

中3日の九州アウェイ長崎戦、ホームに戻っての水戸戦と、ジェフは見事今季初の連勝を達成しました。水戸戦では先制を許したものの、見事な逆転勝利。リードを奪われた状態から勝点3を奪うのは、2020年最終節の北九州戦以来でしょうか。先制されても取り返す力のあるチームというのは何とも頼もしいものです。

何より、ここまでそれぞれ苦しんできたブワニカ、見木のゴールは一サポーターとして、込み上げてくるものがありました。長崎戦ではチアゴが初ゴールを挙げましたし、攻撃陣が乗ってくればかなり強力です。

 

負傷者続出、苦しいメンバー構成

連勝を飾ったこの二試合ですが、長崎戦の開始直後には末吉が負傷。さらに前半の終了間際に高木が負傷。熊谷も負傷で交代と、満身創痍のジェフ。水戸戦ではベンチにチャンが復帰しましたが、米倉が前半途中で負傷交代。福満も受傷と、祟りのような状況。天皇杯を挟んで次節は首位・仙台戦ですが、秋山は契約上の理由で出場できません。

jefunited.co.jp

 

さて、こうなると俄然苦しいのはWBの人選です。仮に福満・米倉が間に合わないとすると、右は西久保でしょう。左WBが本職の選手は末吉・秋山くらいで、福満を含めた3人でこのポジションを回していました。候補としては佐々木が挙げられますが、WBのポジションで90分持つかは怪しいところ。(というか、持たないでしょう。)このポジションのバックアップは不可欠なので、2種登録の矢口や、タイプ的にサイドも出来そうな風間、篠原も候補に入るでしょうか。

 

いずれにせよ、総力戦となるのは必至のこの連戦。ここを制することができれば上位も見えてきます。

 

キッカー佐々木の強み

今回は長崎戦の先制点のシーンを取り上げます。

右サイド45°付近、直接も狙える距離のFK。キッカーの位置には田口と佐々木が並びました。ジェフは中央に鈴木や新井一が入り、長崎の選手もそちらを警戒しています。結果的に、壁にはそれほど高さのない選手(カイオ セザールを除く)が並びました。田口が放ったボールはGKに弾かれて逆サイドへと流れましたが、これを拾った高木がファーにクロス。キッカーの位置からそのまま前に入っていった佐々木が、壁に入っていた奥井とのマッチアップを楽々制して折り返したところを新井一が押し込みました。

キッカーの位置に競り合いにも強い選手がいることで、二次攻撃も効果的になるということが証明されたシーンでした。佐々木が出場している限り、再現の可能性が高いシーンになると思います。相手がそちらを警戒してくれば、その分中が手薄になりますし、出場選手の平均身長で相手を上回ることの多いジェフの強みを活かした攻撃ができるのではないでしょうか。

 

 

今季も折り返しが近づいてきましたが、ここで勢い付けばまだまだ上位は狙えます。上位相手に強い今季のジェフ。仙台戦も期待です。

【ジェフ批評】2022第16・17節vsブラウブリッツ秋田・ロアッソ熊本

 

vs秋田

前節、髙橋の劇的なゴールで勝利を収めたジェフは、再びホームフクアリで秋田を迎えました。

 

アゴの継続、負傷者続出のメンバー選考

先発メンバーは前節をベースに、チャンが負傷で欠けたところに新井一が入りました。

ベンチには久しぶりに西久保と櫻川が入りましたが、試合前のユン監督のコメントから察するに、櫻川は戦術的な理由でメンバーから外れていたようです。やはり、ユン監督がCFに最優先で求めるものは得点なのでしょうか。ただ、櫻川の起用時にはポストプレーヤ守備での貢献度が高く、その部分がタスクとして求められているように感じます。構造的には、櫻川が点を取れる形にはなっていないようには感じるのですが、得点が少ないのは事実です。大きなポテンシャルを秘めていることは間違いないとは言え、もう3年目のシーズン。理不尽に得点を奪える能力を身につけてほしいものです。

その点で、得点により近いのがチアゴということでしょう。ただ、チアゴもここまでノーゴール。戦術にフィットしているとも言い難い状況です。

 

この試合でメンバー外となったチャンは松葉杖をついていたようですし、熊谷、髙橋が負傷での交代。前半のみで代わった米倉や、佐々木の状況も気になるところです。

 

 

運と実力

サッカーは、ある程度運の要素が大きいスポーツだと私は考えています。結果を左右する運と実力のうち、トレーニングによってどれだけ運の占める部分を小さくできるかが、そのチームの強さだと思います。ジェフの今の実力は、前節の岡山戦からもわかるように、ファイナルサードまで押し込んでチャンスを作れる相手からも90分で一点取れるかどうか、というところでしょう。今節もかなり相手を押し込みましたが、フィニッシュに持っていく形は定まっていないようです。特に、サイドから深い位置への侵入はイメージがあるのですが、そこからフィニッシュに繋がりません。チアゴがサイドに流れる場面が多く、中央が手薄になってしまいます。それでもいくつかチャンスはあったのですが、決めきれず。今の力では、取れる試合もあれば取れない試合もあるでしょう。

失点シーンに関しても、正直に言えば運の要素が大きい失点だったと思います。押し込むことで、負ける可能性の低い試合にはできていましたが、10回やれば2、3回は負けるような試合だったのではないでしょうか。さらに言えば、前半の熊谷の脳震盪での交代や髙橋の交代など、采配も不運で苦しかったでしょう。西久保のCB起用はできれば避けたいオプションだったのではないでしょうか。

 

問題は決めきれなかったというこのゲーム内の部分よりも、決めきるだけの攻撃を構築できていないことです。この部分が改善されなければ今節のような試合は増えてしまいます。

 

 

例のプレーについて

試合後、SNSを騒がせたのは結果よりもラフプレーについてでした。秋田の武と髙橋が交錯したシーンは、かなりショッキングな映像でした。このプレーで髙橋は鎖骨骨折の重傷。前節今季初ゴールを挙げ、ここからというタイミングだっただけに悔しいでしょう。サッカーは身体的な接触のあるスポーツなので、そうしたシーンが生まれてしまうことは必然かもしれません。ですが、その後の振る舞いに関しては到底受け入れがたいものでした。試合後、秋田の公式からリリースがありましたが、一組織として心配になる程お粗末な内容のリリースでした。選手を守ることはクラブの責任ですが、選手からのコメントやクラブからの謝罪を出すことでこそ選手を守れることもあるでしょう。今回のリリースも、火に油を注ぐ形となってしまいました。

もちろん誹謗中傷はあってはならないことなのですが、事実に対する批判はあるべきです。それに対して問題をすり替えるような対応は不誠実だと受け取られますし、プロクラブとしては恥ずべき事態です。今回の件についてこれ以上事を荒げる必要はないと思いますが、他クラブが同じような立場に立った時、どのように対応していくべきかの反面教師となったのではないでしょうか。

 

 

 

vs熊本

負傷者が相次ぐ中で迎える連戦の初戦はアウェイ熊本です。天皇杯も含めるとかなり厳しい連戦になるのではないでしょうか。天皇杯に向けてはジェフは2種登録選手をさらに2名追加しているようですが、それでもこの連戦は難しいものになりそうです。

www.jfa.jp

 

ワントップ問題

ジェフは、前節脳震盪の疑いで交代した熊谷が元気に先発。ボランチの相方には田口が久しぶりに復帰。やはりボール保持のフェーズにおいてはこの二枚の安定感はかなり頼もしいです。右WBには福満が先発、CFには櫻川が復帰しました。ベンチにはアウベス、川又、ブワニカとしばらくメンバーから遠ざかっていた選手たちが復帰。負傷者が多い影響も感じられますが、それでもベンチに小林や風間を置いておけるのは贅沢ですね。

熊本はアンカーの河原が素晴らしい仕事をしていました。若手で汗のかけるボランチが今のJ2には多い印象がありますが、今後ステップアップしていく選手ではないでしょうか。

 

ジェフのワントップの人選についてはなかなか定まらないところではありますが、川又が試合に出場できるレベルであれば良い競争になるのではないでしょうか。

 

 

その川又は、わずかなプレー時間でしたが久しぶりに公式戦のピッチに立ちました。ボールに絡む機会はほとんどありませんでしたが、ゴール前への飛び込みには迫力があり、得点の匂いを感じさせる選手です。

先発した櫻川は、後半に決定機を迎えましたがノーゴール。DAZN解説の巻氏の指摘する通り、クロスに対する動きの単調さが目立ってしまいました。櫻川は、ユース所属時代に18番を背負っていたこともありますし、巻氏へのリスペクトを持っている選手なのではないでしょうか。試合中のコメントから櫻川に対する期待は感じられましたが、その期待に応え、フクアリを幾度となく沸かせた巻誠一郎を超える存在になってほしいものです。

 

 

武器の少なさ

ボールを支配しながらも決めきれず、ワンチャンスを決められるという構図は今期だけでもかなり見ているのですが、仕留められない要因はボール保持時の武器の少なさではないでしょうか。単独で突破できるのは左の末吉だけで、二枚で対応されなかなか良い形を作れず。右の福満がインサイドを取って裏を高木が抜けたり、福満がワンツーで突破する形もありますが、中への侵入を阻止されてしまいうまくエリア内に侵入できません。相手に引かれた際には田口のミドルもありますが、得点にそう簡単につながるものではありませんし、相手を引き出したところで次の矢があるわけでもありません。あとは決定力というところまで仕上げられているかというと、そうとも言い切れないのが現状です。なんとなくボールを支配して押し込んではいるものの、得点に結びつけるための決定的な部分の構築ができていないのでしょう。

なんとかセットプレーで同点に追いつきはしましたが、フィニッシュから逆算した攻撃の構築が必要なのではないでしょうか。

レーニングの賜物なのか、それとも選手の即興かはわかりませんが、エリアに近い深い位置を取る連携には長けてきたように感じられる一方で、その崩しに人数を割きすぎてフィニッシャーがいないシーンが多くなっています。なんとももどかしい攻撃が続いていますが、あと一歩のようにも思えます。フィニッシュシーンを増やすことで得点も必然的に増えるはずなので、その部分のクオリティが整備されれば悲観する内容ではないでしょう。

 

 

次節は中3日で連続九州アウェイの長崎戦。メンバーの構成も含めて苦しい連戦になりますが、引き続きサポートしていきましょう!

〜雨降って地固まる〜【ジェフ批評】2022第15節vsファジアーノ岡山

 

連休も終わり、連戦もいよいよ最終戦。直近二試合では完敗、サポーターと選手の関係も悪化し最悪とも言えるチーム状況。さらに相手は好調4位岡山と、これ以上ないほどに悪条件が揃った今節。

試合前にはオシム氏の追悼セレモニーが行われました。現所属の選手たちには直接関係はないのですが、やはりこのクラブのスタイルを築いたレジェンドにサポとしては想いを馳せずにはいられません。今のジェフには今のジェフの形がありますが、それならその形で、あの頃のように明確なスタイルと勝利への執念を見せてほしいものです。

 

先発と試合前の印象

先発は、左CBに佐々木が入り、右に鈴木、新井一はベンチスタートへ。右WBは米倉が今季初スタメン。左末吉、ボランチは田口が外れて小林、シャドーに高木が復帰。3CBについては手を加えるべきポジションだったと思います。ここまで安定したパフォーマンスを見せていた新井一が外れたのは少し意外でしたが。米倉は今季途中出場でコンスタントに出場していましたが、パッとしない印象。ワントップのチアゴは前節露呈した守備の強度不足が大きな不安要素。守備型のボランチである小林を起用したことも含めて、基本は自陣に引き込んでロングカウンター狙い(東京ヴェルディ戦の高木のゴールが良いモデル)かな、という印象を受けました。

岡山は実力ある選手を的確に補強しましたね。昨年J2で脅威だった柳とヨルディ・バイスのCBコンビ。中盤から前に外国籍選手3人を配しながら組織力の高いチームを作り上げている点は木山監督の手腕でしょう。早稲田大卒一年目の田中雄大は、小柄ながら馬力があり、同大の先輩相馬勇紀を彷彿とさせます。佐野航大は米子北出身のルーキーで、町田で大活躍の海舟の弟ですね。

ハイライン

ですが、試合が始まるとジェフは予想に反してハイラインを敷いていました。ハイラインに対してはハイプレスがセットにならなければなりませんが、チアゴも最低限のプレッシングは遂行できていました。

どうしてもプレスがかかりきらないタイミングもありましたが、そこはボランチとWBの走力で対応。両WB、ボランチ共にこのセットでなければ成り立たない方法だったのではないでしょうか。

ボールの保持は、左CBに佐々木が入ったことで非常にスムーズになりました。高精度のフィードを持っているので、一発で展開できる選手でもあります。前半途中からは完全にジェフのペースでしたが、互いに決定機はほぼ作れず。

後半に入るとより一層ジェフが勢いを持ってゴールに迫りましたが、なかなかネットを揺らせません。後半のジェフは、両WBをCBが押し上げ、シャドーとの連携でサイドを落としていくいつもの形で攻め込みましたが、なかなかフィニッシュが合わず。セカンドボールをボランチが回収し、波状攻撃を生み出しますがゴールは割れず。このまま引き分けかとも思った後半アディショナルタイム、途中出場の髙橋が決めて劇的勝利を掴みました。

 

“持ってる”選手

まさにフクアリ劇場と言える素晴らしい舞台の主役となった髙橋でしたが、“持ってる”選手と形容されることの多い選手です。もちろん、努力の賜物が全てのプレーなので、「持ってる」の一言で片付けてしまうのはあまりに失礼な話なのですが、やはり何か持ってると言わざるを得ない。その何かを、少し理屈にしてみようと思います。

髙橋は、青森山田出身の選手ですが、高校時代から得点力には素晴らしいものがありました。3年次の高校サッカー選手権では全試合で得点を挙げ、5得点でMFながら得点ランキング2位に輝きました。当時から非凡な得点力を発揮していた一方で、明確な武器がない選手とも取られがちです。なぜか点は取るけれど、守備力が高いわけでもフィジカルが強いわけでも足が速いわけでもない。おそらく明確な強みがないために、プロの世界ではなかなか出場機会が得られずに苦しんだのでしょう。そんな髙橋が身につけた一つの武器がユーティリティ性であり、昨季はCBでの出場もありました。ですが、彼の真の魅力は昨日のゴールシーンにこそ詰まっていると思います。

「なぜか点を取る選手」は、それだけで価値がありますが、そこにはいくつかのタイプがあると思います。髙橋の得点力の大きな根源となっているのは、まずはシュート技術の高さ。左右両足から、高精度でパンチのあるシュートを放てる技術は、彼の大きな魅力です。そしてもう一つは、動き続けて危険な位置に侵入できるという能力。特に、スクランブルの状況で浮いた位置にいるのが上手い印象です。この二つが髙橋の大きな特長ですが、彼がポジションをなかなか掴めていない理由もはっきりしていると思います。それは、最適性ポジションの不明確さでしょう。能力を見ると、インサイドハーフの選手なのですが、ジェフにそのポジションは存在しません。役割が近いのはボランチのように感じますが、ジェフはサイド攻撃を手厚くするためにCBを攻撃参加させ、ボランチはそれほど攻撃参加しません。では、シャドーはどうかというと、このポジションでは裏抜け役が一人、運び役が一人求められています。左右のCBは攻撃参加の機会も多く、昨季はこのポジションでも出場しましたが、やはり守備の選手ではありません。

今のフォーメーションのまま彼の強みを最大限発揮するには、「ボランチとして起用した上で独自の役割を与える」が最適解ではないでしょうか。今回の得点シーンは、試合後のコメントからも、与えられた役割というよりはその場での判断の結果だったのでしょう。あのプレー(プラス、サイドのボール循環のサポート)を役割として、同サイドのCBの攻撃負担を軽減していくことが現状の起用法になると思います。

 

 

 

雨降って地固まる

この記事の冒頭、横浜FC戦後、大分戦後に書きましたが、選手とサポーターの間に悪い空気が漂う中で迎えた試合でした。

【ジェフ批評】2022第11〜13節vs東京ヴェルディ・レノファ山口・大分トリニータ - KANEKOのジェフ雑談

【ジェフ批評】2022第9・10節vs横浜FC・大宮アルディージャ - KANEKOのジェフ雑談

 

今節は、サポーターと選手が一丸となれたのではないでしょうか。新井章太がゴール裏を煽り、サポーターが拍手と手拍子で応える。最後の得点も、サポーターが呼び込んだゴールだったように感じました。この素晴らしいスタジアムの雰囲気こそがサッカー観戦の魅力であり、サッカーの美しさであると思います。過ぎたことをとやかく言いはしませんが、こうした雰囲気を続けていけるようにサポーターとして支えていきましょう。

 

 

【ジェフ批評】2022第14節vs徳島ヴォルティス

 

試合の内容に入る前に。

先日、ジェフの歴史における偉大な存在であるイビチャ・オシム元監督がご逝去されました。私自身は2000年生まれなので彼の時代の記憶はほとんどありませんが、ジェフにハマったきっかけは間違いなく彼がクラブに残したものでした。2007年のアマル監督時代から定期的に見始めたのですが、翌2008年の最終節。FC東京戦が私の人生の大きなターニングポイントでした。今思えばサッカーのスタイルはオシム時代とは全く異なるものでしたが、オシムチルドレンと呼ばれる選手たちの代表格である巻誠一郎の姿に胸を打たれたことを記憶しています。

私のような若輩者が語るには偉大すぎる存在であることは重々承知していますが、彼がいたからこそ今の私の在り方に繋がっていると強く感じていました。彼が確立したジェフのアイデンティティは今のクラブには見る影もないのかもしれませんが、これから先、いかにクラブのアイデンティティを確立していくかを考え直す機会ではないでしょうか。どんな形であれ、闘うクラブの姿を取り戻していくために支え続ける存在でありたいと思います。

 

とはいえ、現在の選手たちや監督、コーチ陣がオシム氏のことまで背負う必要はないと思います。今には今の、ジェフの形がある。その形を応援していきたいものです。

 

西部謙司著「犬の生活 Jリーグ日記」を拝読しながらジェフの歴史とユン就任一年目のシーズンを思い出し、ジェフの未来へと想いを馳せて。今季のジェフに、期待を込めて。

 

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vs徳島

選手起用の変化

前節大分戦ではなす術なく完敗。今節に向けてはメンバーの変更も示唆していたユン監督でしたが、蓋を開けてみると思ったよりも大きな変化はメンバー上は見られませんでした。ただ、ここで付けた変化はこれまでの傾向からすると意外なところもありました。まず、今季初めて福満を先発から外しました。ベンチにも入らなかったところを見ると、負傷の可能性もありますが、昨シーズンから不調時も起用し続けたアンタッチャブルな存在に見えた福満の不在は大きな変化でしょう。代わって右WBには末吉を起用しました。右WB候補はこの2名はじめ、米倉、西久保がいますが、どの選手もWBとしての役割には不安要素があります。そもそもWBへの負担が大きいシステムではあるのですが。そして、シャドーの位置にはサウダーニャを起用。今季の先発時はCFだったのですが、スタートからチアゴとの縦関係を選択しました。過去2シーズン含めて、多くの試合でユン監督はポストプレイヤー型の(あるいはその役割がこなせる)選手を好みCFに起用してきました。もしかするとユン監督のオーダーはチアゴポストプレーを求めていたのかもしれませんが、彼はポストプレイヤーではなさそうですし、サウダーニャと起用することでより地上戦で素早く攻めようとすることは予想できることだったのではないでしょうか。結果論か狙いかはさておき、この辺りも大きな変化でしょう。

さらには試合終盤、リードしている展開以外では一度もベンチに下げなかった見木と、ここまでフル出場中のキャプテン鈴木を交代でベンチに下げました。どちらの選手も、今季は開幕から好調とは呼べない状態の中で使い続けていましたが、ここに来て(終盤の交代とはいえ)選手起用の変化が見られました。

前節20分ほどの出場にとどまった田口のHT交代も含め、序列の変化やユン監督自身の意識の変化があるのでしょうか。連戦の最後となる次節の選手起用はどのようなものになるか、注目です。

 

ハマらないプレスとCF問題

徳島は、しっかりとボールを握るスタイル。今季の失点数が少ないため、堅守型のチームと思われがちですが、むしろ相手を押し込むことで守備のシーンそのものを少なくしている印象です。中盤底の櫻井がくまなく顔を出し、やや右偏重の変則的フォーメーションから左は西谷の突破力を活かす形。櫻井は2002年生まれの19歳。神戸からレンタルの選手。大分の弓場といい、若手ながら存分に存在感を発揮している選手がJ2には多いですね。ジェフの若手にも奮起してもらいたいところです。ジェフの期待の若手といえば櫻川ですが、ここのところベンチからも外れています。ベンチには佐久間が前節から入っていますが、CFの序列は気になるところ。明確にCFの選手は、川又、櫻川、チアゴ、佐久間の4名で、ここにシャドーも出来るサウダーニャが加わって起用されています。負傷から公式戦に復帰していない川又はひとまず置いておいて、ここまで多くの試合では櫻川が先発起用されています。しかし、肝心の得点面が不足。CF候補の中では、櫻川とサウダーニャが1点ずつ。他の選手にゴールはありません。今節はチアゴが先発起用されましたが、まだまだ守備のタスクに対する理解度は低い様子。サウダーニャは気まぐれプレスで守備に穴を開けてしまうことも。この両名を同時起用することで、徳島CBは自由に持ち出して中盤を制圧することが容易になってしまいました。

今のチーム戦術の中で、前線の守備は必須であり、そこに穴が開くと後ろが崩壊するのは時間の問題となります。守備で押し込まれ続けるとそもそも攻撃の機会はないので、攻撃力は二の次となります。以上を踏まえると、ボールを保持する相手には櫻川。押し込める相手には別の選択肢も出てくるかもしれませんが、決定打はなし。という印象です。ちなみに、ボールを保持する相手に対しては当然シャドーの守備意識も重要です。櫻川の起用時には、ある程度コースを制限してもシャドーが連携しきれずに押し込まれるシーンが散見されます。そこは櫻川の問題というよりはチーム全体の構造の問題でしょう。

いずれにしても、不足しているのは得点力。櫻川の覚醒でも、チアゴやサウダーニャの爆発でも、川又の完全復活でも構いません。点が取れなければファンは楽しくありませんからね。

 

 

GWもあっという間に終わり、連戦も最終局面です。次節、ホームフクアリで次に繋がる何かと勝点3を掴み取りましょう。

 

 

 

 

 

 

 

【ジェフ批評】2022第11〜13節vs東京ヴェルディ・レノファ山口・大分トリニータ

 

GWに入り、Jリーグは連戦真っ只中です。一方、大学はなぜカレンダー通りの休みを与えてくれないのでしょうか。課題に追われているKANEKOです。今回は、東京V戦から大分戦までの三試合について、三つの観点から書いていこうと思います。

 

一つ目は、ピッチ上の現象について。

二つ目は、WEリーグとの共催について。

最後に、また起きてしまったピッチ外でのサポーターと選手の問題についてです。

 

三試合を通して見えたピッチ上の現象

vs東京V

大宮戦ではチアゴ(と呼ばれたいとツイッターで目にしたので。)を先発起用した尹監督ですが、この試合では櫻川を起用。左WBには秋山ではなく末吉をスタートから起用しました。後半に後方からの見事な速攻で最終ラインを破った高木が加入後初ゴールを決め先制に成功しましたが、終盤、佐藤凌我にゴールを許しドローに終わってしまいました。この試合でも課題はいくつか見えたのですが、気になったのは失点シーン。前半にも左サイドから止まらずに動き続けた佐藤に決定機を作られてしまいましたが、見た目は違えど同じシーンだったように感じます。低い位置に降りたりサイドに流れるFWに対して、対応が曖昧になった結果生まれたシーンだと思います。更に言えば、横に動く相手に滅法弱い。最終ラインで連携が取りきれずに作られた二つのシーンだったでしょう。前半のシーンを踏まえて、各選手のタスクが整理されていたのかは気になるところでした。

 

vs山口

前節良いシーンも見せた櫻川でしたが、この試合ではベンチ外に。CFについては、単に序列というよりは担えるタスクの違いが大きい印象です。この試合ではサウダーニャが起用されましたが、山口のスタイルを考えればある程度ボールを握らせて引き込むというイメージがあったのでしょうか。結果的に2点目のシーンは見事にカウンターがハマりました。高木の二試合連続ゴールですが、どちらも裏に抜け出したもので、このポジションにはスピードを求めて采配しているということが見えます。

 

vs大分

この試合ではワントップにチアゴ。田口を休ませて、小林を起用。結果については言及するまでもありませんが、内容面でも、試合を通じて今季ワーストの出来でした。1失点目のシーンについては、高木の戻りが遅かった。映像を見れば明らかなのですが、ディフェンスラインの前に広大なスペースを与えてしまいました。ただ、このあたりのタスクはしっかりと整理されているのでしょうか。終盤の失点ならともかく、前半の序盤です。どうにでも防げた失点でした。2失点目、3失点目は不要なミスの流れから。ゲームを通じてとにかくイージーなミスの多い印象でした。

 

総括

さて、三試合の総括と行きたいところですが、あまりにも大分戦のインパクトが強すぎます。今季のジェフは、いい試合をしたとしても継続性がなさすぎる印象です。尹監督のコメントでは、相手に合わせた選考はしないとありましたが、それが事実であればこの現状も頷けます。そもそも対戦相手はジェフを研究して対策してくるので、それを上回る対策がなければ試合開始から後手に回ってしまっています。実際、大分はしっかりとジェフ対策を打ってきた印象でした。ボールを保持するスタイルそのものは、ジェフにとって分が良い相手なのですが、ショートカウンターに対するネガトラのスピードが凄まじかった。特に、弓場が中盤を完全に制圧していましたね。また、ジェフが保持をしても狭い方にうまく誘導されてしまっていました。熊谷小林のダブルボランチですが、熊谷はどちらかというと狭い局面をグループで打開するのが得意な選手。小林は守備に強みのある選手。狭い局面に誘導されて数的優位を作られあっさり回収される場面が多すぎました。

攻撃については現体制3年目(コーチ陣は2年目ですが)で、選手も多く残っているのにこの状況では正直厳しいです。確かに、ビルドアップが整備されてきてはいますが、その分押し込んだ後の守備が本来の堅固さを失っています。そもそもビルドアップを仕込むのに3季はかけすぎです。尹監督の試合後コメントには正直不信感しかありません。精神論云々については、戦術的な話を全てインタビューでさらけ出すわけにはいかないので悪だとは言い切れませんが、そもそも精神的な部分に原因を押し付けて発信してしまうのは選手を守るという観点から大きな問題なのではないでしょうか。もっと、ピッチ上の現象に目を向けてほしいものです。

 

WEリーグとJリーグの共催が持つ、女子サッカー発展の大きな可能性

東京ヴェルディ戦では史上初めてJとWEリーグが同会場で同日開催されました。昨年開幕した女子プロリーグのWEリーグですが、まだまだ知名度や注目度には発展の余地があります。

試合内容としては、新規のファンを獲得するのに申し分ないものでした。ジェフレディースが2点差から後半に大逆転勝利。この舞台にふさわしい見事な試合を見せてくれました。

 

こうして生まれた新たなファンをどれだけ定着させられるかは今後の課題になりますが、同日開催で間違いなくこれまで以上の注目を集めたと言えるでしょう。この取り組みは、女子サッカー発展の大きなヒントになるはずです。もちろん、単独で集客できるようになるのが理想ですし、今回はJリーグのオマケのように捉えていた人も少なくないかと思います。ただ、入口としては悪くない。むしろ、素晴らしいものでした。これは、前回の記事を書いた後にひっそりとツイートしたことでもあるのですが、プロ野球Jリーグに通づるものがあると思います。プロ野球というのは、Jリーグのライバル的な立ち位置として見られることが多いですが、実際にはその逆であると言えます。確かに、スポーツ観戦をする顧客を奪い合っているとも考えられますが、そもそも日常的にスポーツ観戦をしている人口は非常に少ないのです。その意味で言えば、他分野の娯楽からどれだけ人を引き込めるか。スポーツ観戦そのものに熱中させてしまえば、プロ野球Jリーグも観るようになる人はたくさんいるでしょう。その意味で、Jとプロ野球の関係性について「仲間」だと述べさせてもらいました。ここで本題のWEリーグについてですが、WEリーグとして作っていくべきは、JもWEも観る客ではないでしょうか。Jリーグにもまだまだ発展の余地はありますが、20年以上の年月をかけて培われたJリーグという土壌は非常に豊かなものです。Jリーグが好きなのであれば、潜在的にWEリーグを好きになる可能性も大きい。そこで、Jとの繋がりの中で新規顧客を開拓していけば、いずれ必ずや大きな存在になってくるでしょう。

 

 

選手とサポーターの関係性

本当はこんな章を書きたくはありません。悲しくて仕方がない。

横浜FC戦から歪んだ関係は、またも表象化してしまいました。

選手とサポーターは、お互いにリスペクトがなければならないと思います。あくまで、サポーターがすべきは“サポート”なのですから。

同時に、選手もサポーターに対してあんな姿を見せてはいけない。ファンの存在がなければ成り立たないのがプロスポーツ。必要とされなくなってしまえばそれまでです。気持ちはわかる。だが、堪えなければならない。そんな姿を見て悲しむのは、選手を心から応援している人たちです。そうでない奴を排除するのはクラブでなければならないでしょう。選手が対立するのは絶対にダメです。

さらに言えば、サポーター同士が対立するのもやめましょう。別に、多様な意見があること自体は悪くない。でも、違う意見は敵ではありません。

前回の記事の最後の章をご覧になってない方がいましたら、そちらも是非。個人的な見解です。

 

【ジェフ批評】2022第9・10節vs横浜FC・大宮アルディージャ

もし長文を読むお時間がないという方は、最後の段落だけでも読んでいただけたら幸いです。

 

 

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連戦が終わり、日程の妙とも言うべきか。二位とのアウェイ戦の後に続くのは首位との決戦、そして未勝利チームとの試合。後出しだと言われてしまえばそれまでですが、正直このタイミングでの大宮戦は非常に嫌でした。

 

まずはホームの横浜FC戦から。先発は一枚入れ替え。前節町田戦で活躍の兆しが見えていた風間に替えて、高木が入りました。確かに、裏に抜けるスピードや、スペースを突いていく動きに関しては風間よりも高木に分があるかとは思いますが、ベンチからも外れた風間にとっては悔しいところでしょう。個人的には風間のWBなんかは面白そうだと思いますが、尹監督の中では福満はアンタッチャブルな存在なのでしょうか。そして、ベンチには待望の助っ人、チアゴデレオンソが入りました。呼び方が定まらないのですが、とりあえずマンチェスター・シティのデブライネのノリで、デレオンソとしばらくは表記していこうかと思います。

横浜FCは、絶好調の小川航基はじめ、小川の陰に隠れながらも得点を積み重ねている伊藤や川崎から加入の長谷川など、攻撃陣には非常に厚みがあります。かつてジェフで活躍したクレーベがベンチに座っていることからも、その層の厚さが伺えますね。法政大学から加入の大型ルーキー田部井もJ初先発。高校サッカー選手権で一世を風靡した前橋育英出身のプレイヤーです。

 

試合はキックオフからどちらかと言えばジェフが押し込むような展開に。横浜FCは30分過ぎにようやくCBガブリエウの高い位置からの浮き玉に小川が反応してチャンスを作りますが、そこまではそれほど怖さは感じませんでした。32分には見木のカットインミドル、続く37分には田口のミドル、39分には左サイドを突破した見木の折り返しから高木が決定機を迎えますが、横浜FCの体を張った守備を前に得点できず。すると43分、横浜FC左サイドで長谷川に詰め切れず。チャンの背後をとった小川にピンポイントで合わせられ、先制を許します。いい時間帯に点が取れず、ワンチャンスを沈められてしまう構図は、前節の町田戦と重なるところがあります。

後半は守備を固める横浜FCに苦戦。なかなかゴール前に迫るシーンを生み出せずに時計が進みます。デレオンソやサウダーニャを投入し、攻勢を強めるジェフはラストプレー。末吉のクロスを大外でチャンが折り返し、最後は新井一が捻じ込み同点に。直後に試合終了。試合内容を見ると勝てたゲームでしたが、首位相手に勝点3を与えなかったという点では、なんとか最低限の結果には繋げたのではないでしょうか。

 

続く大宮戦。大宮は原博実さんがフットボール本部長(?)に就任し、なんとか泥沼脱出を図りたいところ。ジェフはこういう状況の相手に悉く相性が悪いイメージがあります。

デレオンソが初先発したこの試合では、序盤はジェフがある程度ボールを握り、そこに高い位置ではプレスを仕掛けてくる大宮という構図に。ロングボールも使いながら裏を突きたい展開でしたが、デレオンソとの連携不足からか、なかなか前線にボールが収まりません。すると前半9分、ロングボールの処理を鈴木大が誤ったところから河田に決められ、またも先制を許します。そこからは大宮が引いてジェフが押し込む展開に。大宮は最終ラインのエリア整理ができていない印象で、ジェフは効果的に高木や見木を使いたいところでしたが、サイドからなかなか内側に進入できず。やはりボールを持たされる展開になると、攻撃バリエーションの少なさが露骨に出てしまいます。デレオンソは何度か裏への抜け出しを試みていたものの、中盤となかなかタイミングが合いません。

スローペースになった印象のあるゲームでしたが、後半に入り68分。またもミスを突かれたところから、河田に個の力で決めきられてしまいます。猛攻に出るジェフでしたが反撃及ばず。コーナーから新井一が二試合連続ゴールを決めますが、試合終了。大宮に今季初勝利を与えてしまいました。

 

ここまでの試合を通して見えてきたこととして、ボールを支配して押し込もうとしてくる相手に対しては、ジェフの中盤でのボール奪取力が活き、そこから見木や高木などクオリティの高い選手が個人でチャンスメイクをするショートカウンターが発動される印象があります。一方で、引いて守る相手に対しては、ある程度ボールの保持には安定感のあるものの、フィニッシュへとつながる形はなかなか生み出せていません。少ない人数の即興で完結するカウンターでは、より個人の高いスキルが発揮されるのですが、グループで崩すための攻撃については仕込めていないというところでしょうか。セットプレーからの得点が増えているのは良いことですが、一方で流れの中からの得点が極端に少ないという点からも、現状の攻撃がうまくいっていないことがわかります。昨年途中から、ポゼッションにも取り組みだした印象がありますが、ファイナルサードの攻略については一向に進捗が見えてきません。フォーメーションなどのバリエーションも含めて考えるべきではないでしょうか。さらに言えば、フロントと現場の認識の乖離も気になるところです。デレオンソは個人的な印象としては2トップタイプ。今のシステムに完璧にフィットする選手なのでしょうか。もちろん、それを生かすも殺すも監督の手腕次第ではあるのですが。

 

 

 

 

 

 

最後になりましたがもう一つ。横浜FC戦の試合後に、非常に残念な一幕がありました。ゴール裏挨拶に来た選手に対して一部サポーターがヤジ。それに対して一部選手が何か言っている様子が確認できました。まず、大前提として、現状のルール下でのヤジは完全にNG。特定して処分するくらいのことはクラブとしてやってほしい。みんなが日常に戻るために守っているルールを一人が破ることで、どれだけ進歩が無駄になるのかということを認識する必要がありますし、チームのことを思っての発言だという主張は到底受け入れられるものではありません。試合後にSNSで近くにいたサポーターが発信してくれたことで、私も何が起きたかを理解できました。

ただ、その上で。ゴール裏2階席で見ていた私としては、ヤジそのものは聞こえませんでした。一部の選手が何やら怒っている様子と、ゴール裏に頭を下げなかったことだけが認識できました。さて、先ほども書いた通り、私はSNSで状況を知ることができました。しかし、小さな子どもはどうでしょうか。選手たちの取った行動に対して、心情は大いに理解できますし、批判されるべきは間違いなくヤジを発したサポーターです。しかし、それでも。私は情報を知るまで選手に対して非常に不快な印象を持ちました。

この試合の裏、蘇我からほんの少し北に行った幕張で、歴史に残る偉業が達成されました。帰り際に嫌な気持ちになった子どもたちは、またジェフを見にきてくれるでしょうか。

「ジェフじゃなくて、ロッテ観に行こうぜ」となってしまわないでしょうか。サポーターの責任も含めて、クラブに関わる全ての人が考えるべき問題に直面していると、私は思います。