KANEKOのジェフ雑談

ジェフを定点観測。戦術的だったり、スポーツ科学的だったり、叙情的だったり。

【ジェフ批評】2022第9・10節vs横浜FC・大宮アルディージャ

もし長文を読むお時間がないという方は、最後の段落だけでも読んでいただけたら幸いです。

 

 

f:id:KANEKONEKKO:20220418130916j:plain

連戦が終わり、日程の妙とも言うべきか。二位とのアウェイ戦の後に続くのは首位との決戦、そして未勝利チームとの試合。後出しだと言われてしまえばそれまでですが、正直このタイミングでの大宮戦は非常に嫌でした。

 

まずはホームの横浜FC戦から。先発は一枚入れ替え。前節町田戦で活躍の兆しが見えていた風間に替えて、高木が入りました。確かに、裏に抜けるスピードや、スペースを突いていく動きに関しては風間よりも高木に分があるかとは思いますが、ベンチからも外れた風間にとっては悔しいところでしょう。個人的には風間のWBなんかは面白そうだと思いますが、尹監督の中では福満はアンタッチャブルな存在なのでしょうか。そして、ベンチには待望の助っ人、チアゴデレオンソが入りました。呼び方が定まらないのですが、とりあえずマンチェスター・シティのデブライネのノリで、デレオンソとしばらくは表記していこうかと思います。

横浜FCは、絶好調の小川航基はじめ、小川の陰に隠れながらも得点を積み重ねている伊藤や川崎から加入の長谷川など、攻撃陣には非常に厚みがあります。かつてジェフで活躍したクレーベがベンチに座っていることからも、その層の厚さが伺えますね。法政大学から加入の大型ルーキー田部井もJ初先発。高校サッカー選手権で一世を風靡した前橋育英出身のプレイヤーです。

 

試合はキックオフからどちらかと言えばジェフが押し込むような展開に。横浜FCは30分過ぎにようやくCBガブリエウの高い位置からの浮き玉に小川が反応してチャンスを作りますが、そこまではそれほど怖さは感じませんでした。32分には見木のカットインミドル、続く37分には田口のミドル、39分には左サイドを突破した見木の折り返しから高木が決定機を迎えますが、横浜FCの体を張った守備を前に得点できず。すると43分、横浜FC左サイドで長谷川に詰め切れず。チャンの背後をとった小川にピンポイントで合わせられ、先制を許します。いい時間帯に点が取れず、ワンチャンスを沈められてしまう構図は、前節の町田戦と重なるところがあります。

後半は守備を固める横浜FCに苦戦。なかなかゴール前に迫るシーンを生み出せずに時計が進みます。デレオンソやサウダーニャを投入し、攻勢を強めるジェフはラストプレー。末吉のクロスを大外でチャンが折り返し、最後は新井一が捻じ込み同点に。直後に試合終了。試合内容を見ると勝てたゲームでしたが、首位相手に勝点3を与えなかったという点では、なんとか最低限の結果には繋げたのではないでしょうか。

 

続く大宮戦。大宮は原博実さんがフットボール本部長(?)に就任し、なんとか泥沼脱出を図りたいところ。ジェフはこういう状況の相手に悉く相性が悪いイメージがあります。

デレオンソが初先発したこの試合では、序盤はジェフがある程度ボールを握り、そこに高い位置ではプレスを仕掛けてくる大宮という構図に。ロングボールも使いながら裏を突きたい展開でしたが、デレオンソとの連携不足からか、なかなか前線にボールが収まりません。すると前半9分、ロングボールの処理を鈴木大が誤ったところから河田に決められ、またも先制を許します。そこからは大宮が引いてジェフが押し込む展開に。大宮は最終ラインのエリア整理ができていない印象で、ジェフは効果的に高木や見木を使いたいところでしたが、サイドからなかなか内側に進入できず。やはりボールを持たされる展開になると、攻撃バリエーションの少なさが露骨に出てしまいます。デレオンソは何度か裏への抜け出しを試みていたものの、中盤となかなかタイミングが合いません。

スローペースになった印象のあるゲームでしたが、後半に入り68分。またもミスを突かれたところから、河田に個の力で決めきられてしまいます。猛攻に出るジェフでしたが反撃及ばず。コーナーから新井一が二試合連続ゴールを決めますが、試合終了。大宮に今季初勝利を与えてしまいました。

 

ここまでの試合を通して見えてきたこととして、ボールを支配して押し込もうとしてくる相手に対しては、ジェフの中盤でのボール奪取力が活き、そこから見木や高木などクオリティの高い選手が個人でチャンスメイクをするショートカウンターが発動される印象があります。一方で、引いて守る相手に対しては、ある程度ボールの保持には安定感のあるものの、フィニッシュへとつながる形はなかなか生み出せていません。少ない人数の即興で完結するカウンターでは、より個人の高いスキルが発揮されるのですが、グループで崩すための攻撃については仕込めていないというところでしょうか。セットプレーからの得点が増えているのは良いことですが、一方で流れの中からの得点が極端に少ないという点からも、現状の攻撃がうまくいっていないことがわかります。昨年途中から、ポゼッションにも取り組みだした印象がありますが、ファイナルサードの攻略については一向に進捗が見えてきません。フォーメーションなどのバリエーションも含めて考えるべきではないでしょうか。さらに言えば、フロントと現場の認識の乖離も気になるところです。デレオンソは個人的な印象としては2トップタイプ。今のシステムに完璧にフィットする選手なのでしょうか。もちろん、それを生かすも殺すも監督の手腕次第ではあるのですが。

 

 

 

 

 

 

最後になりましたがもう一つ。横浜FC戦の試合後に、非常に残念な一幕がありました。ゴール裏挨拶に来た選手に対して一部サポーターがヤジ。それに対して一部選手が何か言っている様子が確認できました。まず、大前提として、現状のルール下でのヤジは完全にNG。特定して処分するくらいのことはクラブとしてやってほしい。みんなが日常に戻るために守っているルールを一人が破ることで、どれだけ進歩が無駄になるのかということを認識する必要がありますし、チームのことを思っての発言だという主張は到底受け入れられるものではありません。試合後にSNSで近くにいたサポーターが発信してくれたことで、私も何が起きたかを理解できました。

ただ、その上で。ゴール裏2階席で見ていた私としては、ヤジそのものは聞こえませんでした。一部の選手が何やら怒っている様子と、ゴール裏に頭を下げなかったことだけが認識できました。さて、先ほども書いた通り、私はSNSで状況を知ることができました。しかし、小さな子どもはどうでしょうか。選手たちの取った行動に対して、心情は大いに理解できますし、批判されるべきは間違いなくヤジを発したサポーターです。しかし、それでも。私は情報を知るまで選手に対して非常に不快な印象を持ちました。

この試合の裏、蘇我からほんの少し北に行った幕張で、歴史に残る偉業が達成されました。帰り際に嫌な気持ちになった子どもたちは、またジェフを見にきてくれるでしょうか。

「ジェフじゃなくて、ロッテ観に行こうぜ」となってしまわないでしょうか。サポーターの責任も含めて、クラブに関わる全ての人が考えるべき問題に直面していると、私は思います。