KANEKOのジェフ雑談

ジェフを定点観測。戦術的だったり、スポーツ科学的だったり、叙情的だったり。

【ジェフ分析】2022第25節vsアルビレックス新潟

前節悔しい逆転負けを喫したジェフは、アウェイ連戦、新潟に乗り込みます。試合前の監督コメントからも、割り切った戦いが予想されました。

 

ジェフのメンバーは大方の予想通り。出場停止から復帰した熊谷と新井章太が先発。新潟は、破壊力のある前線4枚はJ2屈指。ベンチにも谷口、星、伊藤ら実力者が揃います。ボランチの高は市立船橋高校の出身。この代には杉岡、原、金子、真瀬がおり、黄金世代の10番でしたが、高卒ですぐに活躍した杉岡や原に比べると燻っている印象がありました。新潟で地位を確立しているようで嬉しいですね。この代の一つ下にはジェフに所属した杉山がいました。

 

ジェフは立ち上がりから、かなり低いライン設定。開始10分くらいは圧をかけるかと予想していましたが、想像以上の徹底ぶり。「入ってくる選手を捕まえれば良い」と言うコメント通り、ブロックをコンパクトに保ちながら待ち構えます。新潟には個で打開できる選手がいるので、ミクロの局面をどう封じるか。

 

引いて固めるジェフの守備ブロックに対して、ロングボールでは分が悪いと踏んだ新潟は、高木が低い位置に降りて一列ずつ数的優位を作っての突破を試みます。

ただ、一列目を掻い潜った後に近い距離から現れるのは田口と熊谷。個の機動力で中盤の混戦をシャットアウトする試みです。

 

13分、右サイドフリーキックからこぼれ球を西久保が押し込んで先制。この位置からのフリーキックを3試合連続で得点に繋げます。西久保はプロ初ゴール。ジェフはJ2通算700点目と言う節目だそうですが、個人的にはそれを祝うのは微妙な気持ちです。ここ数試合、セットプレーからの得点が急増していますが、しっかりとデザインされています。ジェフと対戦する相手にとってはかなりの脅威になるでしょうね。

 

ちなみにこの図は、先制のフリーキック獲得に繋がったシーンです。ビルドアップの中で、相手をうまく寄せてフリーの選手を作り出しました。右サイドから流れてきたボールに対して前線が左サイドに寄り、風間が中間のポジションに入ることで本間の意識を引きます。外に張ると中のスペースを空けてしまうことになるため堀米も出られず、西久保が良いタイミングでフリーで抜け出しました。風間と西久保の関係性は試合を重ねるごとに良くなっていて、上手く右側2つのレーンを使い分けています。

 

 

22分、島田のスーパーFKにはなす術なし。その前のファールのところでは、もう少し対応の改善ができたでしょうか。

 

前半のジェフはここからハーフタイムまで、一貫してラインを低く設定しました。CBの持ち上がりには、ハーフウェーラインへの侵入からプレス開始。下がってくる位置にはダブルボランチが猛然と寄せて自由を与えません。

 

 

後半の開始からジェフ、二枚交代。

小島、高木を投入して3-4-2-1へと配置を変更します。昨季からも継続していてやり慣れているシステムであること以上に、本間、高木を中心としてワイドからコンビネーションでエリア内への侵入を図る新潟に対して、各レーンにDFを配置することで最後の中央の局面を空けずに防ぐという狙いもあったでしょう。

投入直後は小島のポジショニングミスから裏を取られるシーンもありましたが、時間とともに適応しました。53分のシーンでは、小島が前に出て西久保が中に絞る、臨機応変な対応も見せました。ただ、解説の梅山さんの指摘通り、狙いは後ろの枚数を揃えることだったはずではありますが。

 

システム変更で、後半の開始からジェフは相手ビルドアップに対して敵陣からプレッシングを開始します。最終ラインの幅を埋めることで、ラインを高く保ちやすくなり、プレスにも出やすい距離感となりました。

 

そしてまたもセットプレーから今度は櫻川が決めて勝ち越し。

これで2戦連発です。

 

その後の新潟は、本間が焦れてジェフの中盤ラインの網の前に降りてくるシーンが増えます。普通の選手ならば怖くない位置で、最適の判断ではないはずなのですが、それでも剥がしてチャンスクリエイトする本間はスーパーでした。とは言え、この形からそう簡単にはジェフもゴールを割らせません。

試合後に海外移籍が決まった本間ですが、昨季、今季のJ2を席巻した選手の一人で、このタイミングでの移籍は遅いくらいのタレントでした。

 

ここから、押し込まれる時間帯が続きますが、大分とは違い、高さの選択肢が少ない新潟の揺さぶりに、素早いスライドで対応し、櫻川や代わって入った佐久間、福満らが上手く時間を使って試合終了。ショッキングな敗戦の後の試合でしたが、優勝争い真っ只中の新潟相手にシーズンダブル達成です。

 

理屈、と言うよりは、気持ちの強さで守りきった部分もあるように感じましたが、前節のショックを引きずらないマネジメントと、見事な采配、パフォーマンスでした。

 

次節はホームで栃木を迎えます。こういったタイミングの北関東チーム、怖すぎませんか。勝ちましょう。