KANEKOのジェフ雑談

ジェフを定点観測。戦術的だったり、スポーツ科学的だったり、叙情的だったり。

【ジェフ分析】2022第24節vs大分トリニータ

2-0は危険なスコア。サッカーではよく言われる言葉ですが、まさにそれを身を以て知る結果となってしまいました。逆転勝ちも、逆転負けも少ないここ数シーズンだったので、かなり刺激の強い試合でした。

 

今回は、試合を優位に進めていたはずのジェフの守備がどこから決壊してしまったかを分析していこうと思います。

 

 

新井章、熊谷の2名が出場停止となった今節。今季ここまでの序列通り、GKには松原、ボランチに小林が入りました。松原はこれがJリーグデビューに。一方の大分は、ボランチに17歳保田を起用。過密日程もあり、数試合の中で大きくメンバーを入れ替えています。前回対戦で脅威だった弓場はベンチからのスタートです。

 

 

序盤から大分はシンプルに長いボールを使い、長沢の高さやジェフ右サイド西久保の裏のスペースを突くことを明確に狙ってきます。

9分、10分と立て続けにロングボールから藤本が抜け出しあわやという場面を作り出しました。

ジェフはこれに対し、プレッシングとブロック形成を織り交ぜながら対応します。

 

 

11分、ラインを下げてジェフが裏へのケアを見せると、今度は表、というように大分はセオリー通りの崩し。縦パスからのワンツーの流れで、最後は長沢のヘディングシュートはこの試合最初の決定機でした。

 

12分、今度は表の中川をケアしたところでまた裏。

長いボールが主体となっているために成功率こそ低いものの、対応では後手に回る印象が前半の早い時間からありました。

 

ボールが落ち着かない展開の中15分、セットプレーからジェフが先制。

多少難しいゲームになりそうな状況でも、セットプレーで取りきれるというのは今のジェフの強みです。ラッキーな要素もありましたが、前節、拒んだ田口に代わりGKを務めたチャンへのお返しと言わんばかりの絶好球でした。

 

ジェフの先制後、大分はビルドアップの形を模索しながら前進します。この場面では、下田がCBの位置に下がり4バックのような形に。ただ、ジェフにとっては4-4-2なので役割が明確になります。結局この形は企画倒れに。

ちなみに、この16分頃のシーン含め何度か長沢にグラウンダーの楔を試みていますが、あまり収まらず。ジェフは、ボールを入れさせない守備というよりも、優先順位を落として入った後の対応で十分だという判断をしたようです。

 

ボールを書き入れるのを忘れていてわかりづらい図なのですが、下田がボールホルダーです。26分頃のシーン。大分右サイドから逆サイドに運び、ジェフツートップが遅れてしまいます。逆サイドCBにはサイドハーフを押し出すことで対応していたのですが、中川の絶妙なポジショニングによって風間が出れず。降りてきた下田がフリーで前を向く状況を作られます。この場面は、田口のインターセプトで難を逃れますが、大分が光明を見出したシーンだったのではないでしょうか。

 

 

 

後半開始から大分は保田に代えて弓場を投入。保田は攻撃に顔を出すシーンもありましたが、ロストもいくつかあり、ジェフの脅威にはなり切れませんでした。

ジェフはメンバー交代はありません。

 

後半開始早々、ジェフは櫻川のゴールで追加点を挙げます。ストライカーらしい見事な動きだしとフィニッシュワーク。今後の覚醒を予感させる素晴らしいゴールでしたが、このシーンは大分ゴールキックから始まっています。J1時代の大分も、GKから始まる攻撃が多かった印象ですが、低い位置でのビルドアップで相手を引き出して、前線は張り出すことで全体を押し上げさせず、間延びした中盤を蹂躙していくいわゆる擬似カウンターという形です。風間のマークを引き連れた三竿が内側に運び、外のスペースを下田が使ってフリーになる形でした。

間延びするということはチャンスにもピンチにもなりやすい諸刃の剣ですが、このシーンでは裏目に出ました。西久保が潰したセカンドボールは大分に渡りかけるも、田口がうまく見木に繋いでそこからのゴール。

 

 

さて、ここからは見返したくもないような時間が始まるわけですが、大分は増山と野村を投入して攻勢を強めます。

2-0というスコアから、守備陣はどうしても後ろに重心がかかり、ラインが下がります。そこに夏場の体力的な問題も重なり、前線へのプレスが弱まると、図のようなシーンが生まれ出します。シンプルに背後を狙うだけのボールなのですが、こういったプレーから徐々に押し込まれ、ゴール前での攻防が増え始めたのが60分過ぎ。

そこで一点を取られたことで、ますます展開は一方的になり始めます。

サイドハーフを押し出せなくなったジェフは、大分の野村に上手くスペースを使われて後退を続けます。

 

前線を押し出すことは諦め、米倉を投入して5バックにしてゴール前を固めることで守りきりに出ますが、その米倉の守備判断にエラーが生まれます。

大外の選手にスペースを空けてしまうので、この場面のセオリーは中央の選手が競ることですが、外側の米倉が競りにいったことで藤本をフリーに。同点にされると、バランスを崩したまま失点を重ねてしまいました。

 

 

試合を通して位置どりで優位に立とうとする大分に対して、ジェフは個の対応で凌いできました。ただ、前線に疲れが見え始めたことと、2-0というスコアの魔力から徐々に試合を制圧されていった印象です。すぐさまアウェイの新潟戦がやってきますが、タイプは違えど組織の力が高い新潟に対してどう修正して臨むのか、楽しみです。