KANEKOのジェフ雑談

ジェフを定点観測。戦術的だったり、スポーツ科学的だったり、叙情的だったり。

【ジェフ分析】2022第26節vs栃木SC

新潟に勝利し、ここから勢いに乗りたいジェフ。こういうタイミングでは、必ず北関東のチームと当たるように出来ているのでしょうか。苦手を払拭して、昇格戦線に名乗りを挙げたいところです。

 

両チームの先発。ジェフは、選択肢が少ない状況感がものすごくありますが、ベンチには久しぶりにサウダーニャとチアゴが入っています。栃木は連戦の中でしっかりメンバーを入れ替え。前節のメンバーとの比較をしてみても、充実度が伺えます。順位はそれほど高くありませんが、天皇杯でもラウンド16まで進みました。

 

 

栃木は開始早々からハイプレスに出ます。

ジェフが保持をしているところに対しては、マンツーマンでかなり圧をかけてきます。マンツーマンのプレッシングに対しては、とにかく速攻を撃ち続けて相手を剥がしていくのが一つの攻略法ですが、体力面ではメンバーを入れ替えた栃木に分がありますし、あえてその選択を取らなかったような感じもありました。

 

出しどころに詰まっての苦し紛れのボールは栃木にことごとく回収されていきます。

ジェフは、ブロックを作っての守備に強みのあるチームですが、システム的に噛み合わない相手に対してはサイドハーフが釣り出されて剥がされる場面も目立ちます。

ただ、栃木はそこまでボールを大事にしてくる印象もありませんでした。そうなると、ボールが中央で行ったり来たりするハイテンポなゲームになります。体力面も計算に入れた選択だったのでしょう。ある意味割り切ったスタイルですが、それを遂行しきるには高い忠誠心と集中力、それにもちろん体力も必要になります。

 

序盤のジェフの打開のポイントは、櫻川のポストワーク、セットプレー、風間のポジショニングといったところでしょうか。

 

片側のサイドに寄せたところから、降りてきた見木や田口がダイレクトで展開して、フリーの選手をうまく作るシーンが何度かありました。しかし、なかなかここから好配球は出来ず。可能性は見せたのですが。

 

上手くプレスを剥がし始めると、栃木の圧も弱まります。25分を過ぎたあたりからは、ジェフの展開に。西久保の左足ミドル、コーナーから西久保、新井一と立て続けにチャンスを作り出しますが、いずれもゴールを割ることは出来ません。

 

 

すると42分、ワンチャンスを沈められて失点。この場面では秋山が上手く釣り出されてしまいました。この展開で先行されるのは、相手にとってやるべきことが明確になるのでかなり難しいゲームになります。

 

 

ジェフは、とにかく一点が欲しい後半。栃木はカウンターを狙う構図に。栃木はトランジションの局面において、攻→守でも守→攻でもジェフを上回る運動量と質を見せ、なかなかジェフは押し込み切ることが出来ません。

 

アゴ、高木を投入して攻勢を強めようとします。見木、高木が中に入ってSBに高い位置を取らせますが、栃木の中盤はタフに潰してきます。結果、中央が渋滞してサイドにボールが流れ、1対1で突破しきれずに最後はチアゴにロングボール。そうじゃない感というか、チグハグさが出てしまいます。

 

 

構造的な相性の悪さがあったとは言え、良い時間帯に一点が取れれば試合の展開はまた違ったでしょう。

 

 

ただ、まだまだ上を目指せる立ち位置です。なぜか栃木戦前より横浜FC戦の方が期待感があります。勝ちましょう。

【ジェフ分析】2022第25節vsアルビレックス新潟

前節悔しい逆転負けを喫したジェフは、アウェイ連戦、新潟に乗り込みます。試合前の監督コメントからも、割り切った戦いが予想されました。

 

ジェフのメンバーは大方の予想通り。出場停止から復帰した熊谷と新井章太が先発。新潟は、破壊力のある前線4枚はJ2屈指。ベンチにも谷口、星、伊藤ら実力者が揃います。ボランチの高は市立船橋高校の出身。この代には杉岡、原、金子、真瀬がおり、黄金世代の10番でしたが、高卒ですぐに活躍した杉岡や原に比べると燻っている印象がありました。新潟で地位を確立しているようで嬉しいですね。この代の一つ下にはジェフに所属した杉山がいました。

 

ジェフは立ち上がりから、かなり低いライン設定。開始10分くらいは圧をかけるかと予想していましたが、想像以上の徹底ぶり。「入ってくる選手を捕まえれば良い」と言うコメント通り、ブロックをコンパクトに保ちながら待ち構えます。新潟には個で打開できる選手がいるので、ミクロの局面をどう封じるか。

 

引いて固めるジェフの守備ブロックに対して、ロングボールでは分が悪いと踏んだ新潟は、高木が低い位置に降りて一列ずつ数的優位を作っての突破を試みます。

ただ、一列目を掻い潜った後に近い距離から現れるのは田口と熊谷。個の機動力で中盤の混戦をシャットアウトする試みです。

 

13分、右サイドフリーキックからこぼれ球を西久保が押し込んで先制。この位置からのフリーキックを3試合連続で得点に繋げます。西久保はプロ初ゴール。ジェフはJ2通算700点目と言う節目だそうですが、個人的にはそれを祝うのは微妙な気持ちです。ここ数試合、セットプレーからの得点が急増していますが、しっかりとデザインされています。ジェフと対戦する相手にとってはかなりの脅威になるでしょうね。

 

ちなみにこの図は、先制のフリーキック獲得に繋がったシーンです。ビルドアップの中で、相手をうまく寄せてフリーの選手を作り出しました。右サイドから流れてきたボールに対して前線が左サイドに寄り、風間が中間のポジションに入ることで本間の意識を引きます。外に張ると中のスペースを空けてしまうことになるため堀米も出られず、西久保が良いタイミングでフリーで抜け出しました。風間と西久保の関係性は試合を重ねるごとに良くなっていて、上手く右側2つのレーンを使い分けています。

 

 

22分、島田のスーパーFKにはなす術なし。その前のファールのところでは、もう少し対応の改善ができたでしょうか。

 

前半のジェフはここからハーフタイムまで、一貫してラインを低く設定しました。CBの持ち上がりには、ハーフウェーラインへの侵入からプレス開始。下がってくる位置にはダブルボランチが猛然と寄せて自由を与えません。

 

 

後半の開始からジェフ、二枚交代。

小島、高木を投入して3-4-2-1へと配置を変更します。昨季からも継続していてやり慣れているシステムであること以上に、本間、高木を中心としてワイドからコンビネーションでエリア内への侵入を図る新潟に対して、各レーンにDFを配置することで最後の中央の局面を空けずに防ぐという狙いもあったでしょう。

投入直後は小島のポジショニングミスから裏を取られるシーンもありましたが、時間とともに適応しました。53分のシーンでは、小島が前に出て西久保が中に絞る、臨機応変な対応も見せました。ただ、解説の梅山さんの指摘通り、狙いは後ろの枚数を揃えることだったはずではありますが。

 

システム変更で、後半の開始からジェフは相手ビルドアップに対して敵陣からプレッシングを開始します。最終ラインの幅を埋めることで、ラインを高く保ちやすくなり、プレスにも出やすい距離感となりました。

 

そしてまたもセットプレーから今度は櫻川が決めて勝ち越し。

これで2戦連発です。

 

その後の新潟は、本間が焦れてジェフの中盤ラインの網の前に降りてくるシーンが増えます。普通の選手ならば怖くない位置で、最適の判断ではないはずなのですが、それでも剥がしてチャンスクリエイトする本間はスーパーでした。とは言え、この形からそう簡単にはジェフもゴールを割らせません。

試合後に海外移籍が決まった本間ですが、昨季、今季のJ2を席巻した選手の一人で、このタイミングでの移籍は遅いくらいのタレントでした。

 

ここから、押し込まれる時間帯が続きますが、大分とは違い、高さの選択肢が少ない新潟の揺さぶりに、素早いスライドで対応し、櫻川や代わって入った佐久間、福満らが上手く時間を使って試合終了。ショッキングな敗戦の後の試合でしたが、優勝争い真っ只中の新潟相手にシーズンダブル達成です。

 

理屈、と言うよりは、気持ちの強さで守りきった部分もあるように感じましたが、前節のショックを引きずらないマネジメントと、見事な采配、パフォーマンスでした。

 

次節はホームで栃木を迎えます。こういったタイミングの北関東チーム、怖すぎませんか。勝ちましょう。

 

【ジェフ分析】2022第24節vs大分トリニータ

2-0は危険なスコア。サッカーではよく言われる言葉ですが、まさにそれを身を以て知る結果となってしまいました。逆転勝ちも、逆転負けも少ないここ数シーズンだったので、かなり刺激の強い試合でした。

 

今回は、試合を優位に進めていたはずのジェフの守備がどこから決壊してしまったかを分析していこうと思います。

 

 

新井章、熊谷の2名が出場停止となった今節。今季ここまでの序列通り、GKには松原、ボランチに小林が入りました。松原はこれがJリーグデビューに。一方の大分は、ボランチに17歳保田を起用。過密日程もあり、数試合の中で大きくメンバーを入れ替えています。前回対戦で脅威だった弓場はベンチからのスタートです。

 

 

序盤から大分はシンプルに長いボールを使い、長沢の高さやジェフ右サイド西久保の裏のスペースを突くことを明確に狙ってきます。

9分、10分と立て続けにロングボールから藤本が抜け出しあわやという場面を作り出しました。

ジェフはこれに対し、プレッシングとブロック形成を織り交ぜながら対応します。

 

 

11分、ラインを下げてジェフが裏へのケアを見せると、今度は表、というように大分はセオリー通りの崩し。縦パスからのワンツーの流れで、最後は長沢のヘディングシュートはこの試合最初の決定機でした。

 

12分、今度は表の中川をケアしたところでまた裏。

長いボールが主体となっているために成功率こそ低いものの、対応では後手に回る印象が前半の早い時間からありました。

 

ボールが落ち着かない展開の中15分、セットプレーからジェフが先制。

多少難しいゲームになりそうな状況でも、セットプレーで取りきれるというのは今のジェフの強みです。ラッキーな要素もありましたが、前節、拒んだ田口に代わりGKを務めたチャンへのお返しと言わんばかりの絶好球でした。

 

ジェフの先制後、大分はビルドアップの形を模索しながら前進します。この場面では、下田がCBの位置に下がり4バックのような形に。ただ、ジェフにとっては4-4-2なので役割が明確になります。結局この形は企画倒れに。

ちなみに、この16分頃のシーン含め何度か長沢にグラウンダーの楔を試みていますが、あまり収まらず。ジェフは、ボールを入れさせない守備というよりも、優先順位を落として入った後の対応で十分だという判断をしたようです。

 

ボールを書き入れるのを忘れていてわかりづらい図なのですが、下田がボールホルダーです。26分頃のシーン。大分右サイドから逆サイドに運び、ジェフツートップが遅れてしまいます。逆サイドCBにはサイドハーフを押し出すことで対応していたのですが、中川の絶妙なポジショニングによって風間が出れず。降りてきた下田がフリーで前を向く状況を作られます。この場面は、田口のインターセプトで難を逃れますが、大分が光明を見出したシーンだったのではないでしょうか。

 

 

 

後半開始から大分は保田に代えて弓場を投入。保田は攻撃に顔を出すシーンもありましたが、ロストもいくつかあり、ジェフの脅威にはなり切れませんでした。

ジェフはメンバー交代はありません。

 

後半開始早々、ジェフは櫻川のゴールで追加点を挙げます。ストライカーらしい見事な動きだしとフィニッシュワーク。今後の覚醒を予感させる素晴らしいゴールでしたが、このシーンは大分ゴールキックから始まっています。J1時代の大分も、GKから始まる攻撃が多かった印象ですが、低い位置でのビルドアップで相手を引き出して、前線は張り出すことで全体を押し上げさせず、間延びした中盤を蹂躙していくいわゆる擬似カウンターという形です。風間のマークを引き連れた三竿が内側に運び、外のスペースを下田が使ってフリーになる形でした。

間延びするということはチャンスにもピンチにもなりやすい諸刃の剣ですが、このシーンでは裏目に出ました。西久保が潰したセカンドボールは大分に渡りかけるも、田口がうまく見木に繋いでそこからのゴール。

 

 

さて、ここからは見返したくもないような時間が始まるわけですが、大分は増山と野村を投入して攻勢を強めます。

2-0というスコアから、守備陣はどうしても後ろに重心がかかり、ラインが下がります。そこに夏場の体力的な問題も重なり、前線へのプレスが弱まると、図のようなシーンが生まれ出します。シンプルに背後を狙うだけのボールなのですが、こういったプレーから徐々に押し込まれ、ゴール前での攻防が増え始めたのが60分過ぎ。

そこで一点を取られたことで、ますます展開は一方的になり始めます。

サイドハーフを押し出せなくなったジェフは、大分の野村に上手くスペースを使われて後退を続けます。

 

前線を押し出すことは諦め、米倉を投入して5バックにしてゴール前を固めることで守りきりに出ますが、その米倉の守備判断にエラーが生まれます。

大外の選手にスペースを空けてしまうので、この場面のセオリーは中央の選手が競ることですが、外側の米倉が競りにいったことで藤本をフリーに。同点にされると、バランスを崩したまま失点を重ねてしまいました。

 

 

試合を通して位置どりで優位に立とうとする大分に対して、ジェフは個の対応で凌いできました。ただ、前線に疲れが見え始めたことと、2-0というスコアの魔力から徐々に試合を制圧されていった印象です。すぐさまアウェイの新潟戦がやってきますが、タイプは違えど組織の力が高い新潟に対してどう修正して臨むのか、楽しみです。

 

〜最高のエンターテインメント〜【ジェフ批評】2022第23節vs東京ヴェルディ

4-4-2継続で7戦無敗

ホーム連戦となった今節は、城福監督が就任し、天皇杯ではJ1王者川崎を破り勢いに乗る東京Vを迎えました。

ジェフは前節からスタメン変更なし。鈴木大の離脱以降継続している4バックでスタートします。ヴェルディU-23アジアカップ帰りの馬場が右SB。元ジェフの井出と小池も先発。ベンチには新井瑞希バスケス バイロンと打開力に長けた選手が控えています。戦力面で言えば、やはりJ2トップクラスのチームですね。5人のアカデミー出身選手がメンバー入りしていて、育成の地力を感じます。

 

試合は開始早々、ジェフがセットプレーから幸先よく先制。その後もボールを握りゲームを支配すると、秋山が獲得したPKを見木が決めて追加点。後半開始早々にもデザインされたセットプレーから新井一が再び決めて3-0に。終盤5バックへの変更もしながら、時計の針を進めます。アディショナルタイムには新井章が退場しチャンがGKを務めるというアクシデントもあり、1失点を喫しましたが、そのまま試合終了。酷暑の中のゲームを効率的に動かして完勝で、7試合負けなしです。

各選手の起用法の模索

終盤、5バックに変更する際にユン監督は風間に代えて小島、秋山に代えて矢口を投入しました。衝撃だったのは小島のポジション。久しぶりの出場となった小島ですが、これまでのキャリアでは攻撃的なポジションを務めることが多かった選手です。ボランチとして守備も誠実に取り組みますが、どちらかと言うとクラシカルな攻撃的MFという印象が強い選手ですが、そんな小島を3CBの右に配置しての5バックとなりました。昨年もいきなり高橋をCB起用した際には驚いたものですが、それ以上の驚きがありました。頭の良い選手であることは間違い無いので、サッカーIQの高さとボールを扱う技術を買われての起用でしょうか。最適な起用法では無いとは思うのですが、CBが足りていないこの状況でサポーターの誰もが予想しなかったであろう可能性を見出し、リーグ戦の舞台で起用したユン監督には脱帽です。

同時に投入された矢口は、直後に福満が西久保に代わって投入された後もポジション変更はなく左WBを務め切りました。福満は左右どちらでもプレー可能なことはすでに示していたので、福満を左に入れるかとも思いましたが、ここも外れました。U-18での試合を見たことはないので、これまでどのようなポジションでプレーしてきたかはわかりませんが、ゲキサカの記事を見る限り右SBとして出場していた世代別の代表でもアクシデントの流れから左に回ったこともあるようなので、全く経験がないと言うわけではないようです。負傷者が多く、難しいメンバー編成を迫られていますが、その中でも各選手の可能性を見出していくマネジメント能力はさすがのものがあります。

最高のエンターテインメント

この試合では、新井章太の退場があり、少し後味の悪い印象を抱いた方もいるかもしれません。確かにあの行為は決して褒められたものではありませんし、チームにとっても大きなマイナスとなる退場となってしまいました。ただ、エンタメとしては最高だったのではないでしょうか。今季のジェフはここまで対戦相手含めて退場者ゼロ、PKもゼロという試合を続けてきました。毎試合のようにあっても困るのですが、それにしても少なすぎるシーズンです。1チームを定点的に見ていると、心のどこかでたまには刺激が欲しくなるというのは私だけでしょうか。もちろん、そのアクシデントで負傷してしまう選手が出てしまうのは悲しいのですが、今回の行為はそうではありません。ましてや、GKが退場してFPが急造GKを務める場面など、そう見られるものではありません。後でDAZNで確認しましたが、GKユニを押し付け合うところなんか面白かったですよね。選手たちは至って真剣なのですが、真剣さの中にあるイレギュラーも興行としてのサッカーの魅力ではないでしょうか。次節は出場停止となり、松原や鈴木涼に出番が来ることになりますが、彼らにとってもチャンスになります。

もちろん新井章太にはしっかりと反省して、再びピッチで存在を示すことを期待しています。

【ジェフ批評】【軽め】2022第22節vs大宮アルディージャ

リーグもついに折り返し、後半戦はホームで大宮を迎えてのスタート。前回対戦で不調だった大宮に初勝利を献上した雪辱を晴らし、最高のスタートを切りたいところです。

 

ジェフは4-4-2を継続。右SBに西久保を起用、出場が危ぶまれた新井一は先発し、なんとか本職のポジションでDFラインを揃えることができました。2トップの一角にはチアゴに代わって櫻川が先発。チアゴは負傷でしょうか。試合後、ユナパ付近で車内で陽気に歌う様子を目撃しました。

大宮は前回対戦で2得点の河田がベンチスタート。2ヶ月しか経っていないですが、メンバーが割と変わっている印象があります。

 

 

前半から、ジェフは高い位置を取り攻撃的に入ります。ただ、相手の間にうまく入ることが出来ずなかなかフィニッシュシーンを作れません。攻めあぐねる中の不用意なボールロストから流れを失うと、コーナーキックから失点。セットプレーからファーサイドを空けてしまう形での失点は今季何度目でしょうか。能力云々というよりは、セットプレー守備の構造的な欠陥があるように感じます。

失点後はしっかりブロックを敷く大宮に対してボールを支配して押し込みます。大宮は、人はいるのですが相手の動きに対応しきれずスペースを空けてしまう場面が散見されました。前半終了間際の同点ゴールも、見木のボールキープに引っ張られて秋山をフリーで走らせたところからのゴールでした。

後半も攻勢を強めていくジェフでしたが、得点は生まれず。大きなチャンスもなかなか作ることが出来ずに試合終了。試合全体を見ると勝点2を落とした印象で、ラストプレーのカウンターを見ると勝点1を拾ったとも捉えられます。

 

正直、まだこの完成度の大宮にホームで勝ちきれなかったのは痛いですが、満身創痍のこの状況で負けていないという状況をポジティブに捉えていきましょう。ホーム連戦、次節は東京V戦。天皇杯でJ1王者川崎を倒し、勢いに乗っているかもしれませんが、しっかりと勝ち切りましょう。

 

 

【ジェフ千葉】2022前半戦全選手寸評

前半戦を勝点30になんとか乗せて、8位で折り返したジェフ。上位チームでは山形、岡山が未消化の試合もあるものの、大混戦の今季にあってはまだまだ上位も狙える立ち位置です。もちろん、下も近いので気は抜けませんが。

 

ただ、ここまで多くの負傷者やコロナ感染を出しながらも、チームとして調子を上げてきているのは素晴らしいのではないでしょうか。

 

フィールドプレイヤーは2種登録の選手を除いて全員がリーグ戦のピッチに立ちました。

 

GK

1.新井章太

リーグ戦ではここまでフル出場。J2ではトップクラスのGKであることは言うまでもありません。至近距離でのセービングに優れており、ほぼ毎試合1点もののビッグセーブを連発。ビルドアップの意識も加入当初より高まっています。欲を言えば、ウイングバックの足元につけるようなフィードが見られると良いですが、それは無い物ねだりというもので、不満はありません。サポーターとの衝突もありましたが、最近ではかなり良い関係を築けているのではないでしょうか。

 

23.鈴木椋大

開幕時はセカンドキーパーとしてベンチ入りしていたのですが、負傷?でメンバーを外れるとその後は第3GKという立ち位置に。GKとしてはまだまだこれからという年齢の選手なので、もしかすると移籍も視野に入るかもしれません。昨年は新井の負傷時にチームを支え、開幕戦ではPKセーブもありました。良い選手なのですが、出場機会は欲しいですね。

 

31.松原颯汰

流経大柏で1年次からレギュラーを掴み、高卒で加入して2年目のGK。鈴木の離脱後はセカンドキーパーとしての立ち位置を確立し、天皇杯でプロデビューを果たしました。ビルドアップでの落ち着きと高いフィード精度があり、今後の成長に期待できる現代型GKです。身長は181cmと小柄なため、ハイボールの処理などには不安が残ります。

 

34.三宅龍人【2種登録】

昨年の白鳥に続いて、U-18からGKの2種登録。出番は余程のことがなければ来ないでしょうが、練習参加などで経験を積んで今後のキャリアにつなげてほしいです。

 

DF

6.新井一耀

ジェフで四年目を迎えたCB。以前は判断ミスから失点に繋がることがまあまあの頻度で起こっていたのですが、今季はここまで出色のパフォーマンス。CBながら4得点というのも素晴らしい数字です。守備能力もさることながら、攻撃時のフィードの質が判断が向上したことにより遺憾無く発揮されています。岡山戦を除いて全試合に先発しており、不動の地位を築いています。直近の甲府戦で負傷交代したことが気がかりですが、後半戦も大きな期待を寄せています。

 

11.米倉恒貴

ついにチーム最年長、34歳という事実に衝撃を隠せません。序盤戦は福満のバックアップという形で途中出場がメインでしたが、目立った活躍は見せられず、フィジカル系プレイヤーの年齢的限界を感じさせられました。しかし、岡山戦で先発出場を果たすと、全盛期を彷彿とさせるパフォーマンスを披露。攻撃面で推進力を加えてくれました。水戸戦の前半で負傷交代し、離脱中。

 

13.鈴木大輔

今季もキャプテンを務め、主に3バックの左CBとして出場。左足のスキルはそこまで高くはないため、ビルドアップで詰まってしまうこともありますが、守備対応は見事。若い選手の多いチームの精神的支柱としても欠かせない存在です。新潟戦の劇的ゴールには痺れました。が、こちらも仙台戦で負傷、離脱中。珍しくチームから負傷のリリースがあったのは、本人の希望でしょうか。

jefunited.co.jp

7月中旬頃までは不在を覚悟する必要がありそうです。

 

15.チャンミンギュ

序盤戦は本職のCBに加えて離脱者が多かったボランチでもプレー。一時期負傷でメンバーを外れましたが、復帰。天皇杯の試合後の監督インタビューで、WBとしてプレーする可能性について言及され、サポーターがざわつきました。展開力があり、自分でも持ち運べる選手ですが、攻撃面での特長は今季はあまり発揮できていない印象。総合的にスキルの高い選手ですが、昨季のプレーからするとまだ出来ると期待してしまいます。

 

22.佐々木翔

昨季の3バックへの移行から待ち望まれていた左利きCB。正確なフィード、パンチのあるミドルシュートプレースキックなど、高いキック能力を持った選手です。左利きCBが左サイドにいることでビルドアップもスムーズになり、攻撃を活性化させてくれます。やや調子の波があるように感じられますが、好調時のパフォーマンスは素晴らしいものを持っています。天皇杯金沢戦で前半に負傷、離脱中。CBの離脱が重なるのはかなり苦しいです。

 

26.西久保駿介

三菱養和から加入の高卒SB。デビュー戦となった2節・琉球戦では高い跳躍力を活かした空中戦で圧巻のプレーを披露。長い飛距離のロングスローも兼ね備えており、着実に出場機会を得ています。甲府戦では新井一の負傷でまさかの4バックのCBでプレー。守備時の対応にはまだまだ課題が残りますが、高いポテンシャルを持っていることは間違いない選手。大事に育てていきましょう。

 

33.ダニエルアウベス

謎の若手CB。ほぼ出場機会を得られていません。外国籍選手枠を使うほどの価値を示せていないというところでしょうか。コメントできることは今のところほぼ皆無ですが、このまま消えずに頑張ってほしいところです。

 

45.矢口駿太郎【2種登録】

第3節の山形戦を前に緊急で2種登録され、リーグ戦4試合に出場。このような状況とはいえ、ジェフで2種登録選手がこれだけ出場機会を得ているのはいつぶりでしょうか。わずかな出場時間ですが、守備で良いパフォーマンスを見せています。同じポジションに2年連続で高卒ルーキーを入れるのかという編成上の問題はありますが、トップ昇格にも期待がかかります。甲府戦でベンチ入りした翌日にはU-18の試合が前橋で行われ、そちらにも帯同して出場したようです。この試合でU-18はクラブユース選手権の全国出場を決めました。アカデミーから多くの選手がトップで活躍できると良いですね。

 

 

MF

4.田口泰士

今季も圧巻のパフォーマンスを見せ続け、キングの風格が漂ってきました。全てにおいてハイクオリティのボランチは、J2においては圧倒的な選手。プレーに関してはこれ以上ないという出来です。感情を露わにして相手選手に向かっていく場面が多いように感じますが、よく見ると自分がファウルを受けた時はほぼ怒らないのに味方が荒いプレーを受けるとすぐさま立ち向かっていく様は、モンキー・D・ルフィを彷彿とさせます。

 

5.小林祐介

出場機会はそれほど多くありませんが、今季もボランチの3番手として、田口・熊谷をバックアップしています。小林をベンチに置いておくというのはJ2では贅沢すぎる気もしますが、ベンチに小林が控えているという安心感はかなりのものです。昨季の印象は、狩れるけどそれほど繋げない選手といったところでしたが、今季はビルドアップの安定感も向上し、ボール保持時もしっかり顔を出してスムーズに展開しています。本人としては、もう少し出場機会を増やしたいところだとは思うので、後半戦はより競争を激化させるような活躍に期待です。

 

8.風間宏矢

 開幕直後はそれなりに出場を重ねていましたが、シャドーとしてなかなかフィット出来ずに一時期は完全に信頼を失ってしまいました。しかし、高木の負傷に伴って先発出場を重ねると、直近2試合ではサイドハーフとして素晴らしいパフォーマンスを見せました。やはり、本職はサイドの選手ですね。ただ、ゴールに直結する働きが出来る選手なので、得点が生まれればシャドーとしてより怖さを発揮できるかもしれません。

 

 10.見木友哉

 昨季の大エースは10番を背負った今季、なかなかコンディションを上げられていませんでした。ピッチでスリップする選手が非常に多い今季のフクアリにおいて、最もスリップしていたように感じます。今季は寮を出たようで、コンディションの問題か、あるいは別の問題があるのか。しかし、水戸戦でボランチの位置でプレーしての飛び出しで得点を挙げると、2試合連続のゴールを記録。思えば昨季も序盤は終盤ほどの活躍を見せたわけではありませんでした。偉大な漢の背番号を継いだ今季、まだまだ期待されるほどの活躍は見せられていません。ここからの巻き返しに期待がかかります。

 

14.小島秀仁

高い技術と類稀なセンスを持つボランチですが、序盤戦以外では出場、メンバー入りはありません。ジェフでのプレーも長くなってきましたが、なかなか活躍を見せられていないのはもどかしいところです。出場すれば得点に繋がる1本のパスを出せる選手なので、見たいと思う反面で、守備力に関しては不安があります。ただ、そこは構造次第でどうにでもなる問題でもあるので、活きる状況でプレーが見たいものです。

 

17.福満隆貴

ウイングバックとして不動の地位を築いているサイドプレーヤーです。ジェフの選手の中では、かなりの熱さを持ちながらも、冷静さを兼ね備えた選手です。ファーストタッチの技術が非常に高く、良い置き所からのクロスが武器の1つですが、今季はなかなか得点には繋がっていません。中の選手と噛み合えば、多くの得点を生み出せるはずなので、徐々にそんなシーンが見られるようになるでしょう。直近2試合では左右のサイドバックとしてプレーし、負傷者が多い状況の中で非常に貴重なユーティリティ性を見せています。

 

18.熊谷アンドリュー

昨季に引き続き、田口の相棒として安定したパフォーマンスを見せています。狩れて繋げるボランチだが前向きのプレーは少ない、という印象がありましたが最近は一発でのチャンスメイクも見せています。甲府戦の先制点は熊谷のパスが起点でした。攻撃に絡むプレーが増えれば、このダブルボランチを超える中盤はもはやJ2にはいないでしょう。後半戦はこれまで以上の無双を見せてほしいですね。

 

21.秋山陽介

ジェフアカデミー出身、期待の選手ですがここまでは左の末吉のバックアップとしてのプレーがメインになっています。攻撃、守備の両面で目立った活躍は出来ていません。3バックだとサイドの攻守全般を担うため、少し物足りない印象。4バックのサイドバックとしては安定したプレーを見せましたが、後半戦はもう少し攻撃的な、チャレンジのプレーを見たいです。

 

25.末吉塁

今季も左WBとしてプレーすると、攻め手の少ない序盤戦のジェフにおいて唯一の突破口になっていました。対面の相手を縦に突破してのクロスは多くのチャンスを生み出しています。オフ・ザ・ボールの質が高いわけではないので、ボールが入る前に封じられてしまうとなかなか良さが活きません。この部分が改善されれば、J2では止めようのない選手になれるはずなので、復帰後のもう一段階の覚醒に期待がかかります。

 

28.篠原友哉

開幕直前に加入が決まり、序盤戦でいくつかの出場機会を得ましたが、長い時間のプレー機会はありません。ジェフではMF登録でボランチでのプレーもありましたが、大学時代の印象はもう少しストライカー寄りの選手といったところです。推進力を持って戦える選手なはずなので、得点やそこに直結するプレーを後半戦、見せてほしいです。

 

32.髙橋壱晟

多くのサポーターが大きな期待を寄せて迎えた今季、序盤戦はなかなか出場機会を得られませんでした。東京V戦で今季初出場を果たすと、岡山戦の87分に投入、終了間際に劇的なゴールを挙げました。前半戦のジェフにおける最大のハイライトではないでしょうか。左右両足でのシュート技術の高さと、低い位置から危険なエリアに侵入する能力の高さが大きな武器です。ここから一気に活躍をしていくと誰もが期待を寄せたのですが、翌秋田戦、相手選手のラフプレーによって鎖骨骨折の重傷。離脱中です。練習風景では復帰は意外と近そうなので、鬱憤を晴らすパフォーマンスを期待しています。

 

50.桑原晃大【2種登録】

FW新明と共に登録も、トップチームでのメンバー入りはなし。今は田口、熊谷、小林が揃っていますが、ボランチはもともと負傷の多い選手たちではあるので、場合によっては機会があるかもしれません。

 

FW

9.川又堅碁

昨季は負傷で出場がなく、退団が濃厚かと思われましたがまさかの残留。徐々にメンバー入りの機会を増やすと、わずかな時間ではありましたが公式戦への復帰を果たしました。負傷前の輝きを取り戻せば間違いなく相手にとって怖い選手ですし、ここからの大復活に期待せずにはいられません。

 

19.サウダーニャ

昨季は主にジョーカー的な立ち位置だったサウダーニャは、今季は期待ほどの出場を重ねられていません。カウンターで運んでいくドリブルにはワクワクするのですが、押し込んでいる状況での判断には課題が残ります。まだ若い選手なので、これからの成長に期待です。

 

20.高木俊幸

セレッソから加入したシャドーストライカー。スピードと技術があり、決定力もあります。船山が退団し、見木の相方が定まらない序盤でしたが、徐々に信頼を獲得してこのポジションの一番手に。裏への飛び出しから相手を引っ張れるので、周囲にもスペースを与えられる選手です。負傷からの復帰も近いと思われるので、フィットしてきた風間とのポジション争いも後半戦の楽しみです。

 

27.チアゴ デ レオンソ

遅れてやってきた助っ人。満を持しての加入からしばらくはフィット出来ず、サポーターの多くも高い評価はしていませんでした。櫻川に代わって出場を増やしたわけですが、合流当初は同じタスクを与えられ、なかなか輝けませんでした。ですが、周囲からの理解も高まり、徐々にフィットしていくと、周囲を活かしながら多くの得点を演出しています。当然、サポーターも手のひらを返しました。自身の得点は少ないですが、周囲の得点を引き出せる選手は貴重です。後半戦も、多くの得点を演出していただきましょう。

 

29.佐久間太一

アカデミーから昇格1年目のFW。ここまで、予想していた以上の出場機会を得ています。とはいえ、時間が短く攻撃に絡む機会は少ないのですが、甲府戦ではポテンシャルの片鱗を示しました。やはりFWなのでゴールに絡むプレーを見せれば、これまで以上の出場機会を得られるはずです。

 

37.ブワニカ啓太

昨季開幕戦の衝撃デビューから1年、気づけば完全に出場機会を失ってしまっていました。しかし水戸戦で先発出場すると、見事な左足ボレーで今季初ゴール。勢いそのままに3試合連続ゴールを挙げています。シュークリームパワー、恐るべし。CFの近くでのプレーに特長があり、決定力を兼ね備えたセカンドトップというイメージです。そのため、ワントップ起用の際にはなかなか武器を発揮できませんでした。最近のプレーには迷いがなく、貪欲さを感じます。こうしたプレーは見ていて本当に気持ちが良く、ワクワクさせられるので、好調を後半戦も維持して真の覚醒に至ってほしいと思います。

 

40.櫻川ソロモン

昨季後半戦はレギュラーを獲得したのですが、今季途中からはベンチ生活。覚醒待ちの状態です。同世代の選手たちがJ1で活躍し始めている中、世代別代表からも遠ざかってしまっています。高いポテンシャルを育成年代から評価されながらも、なかなかプロでは結果を示せていません。とはいえ、まだ3年目。小さなきっかけ一つで大きく変わる年齢です。アカデミー出身でクラブの宝でもあるので、しっかりと育てきってほしいものです。ロングボールを収める能力に長けており、長身選手ながら足元のプレーも得意としています。課題は動き出しの質の部分。熊本戦のDAZN解説だったレジェンド・巻誠一郎氏が指摘していた部分が改善されれば、得点も増えるでしょう。その点では、川又の復帰は好材料かもしれません。百戦錬磨のストライカーから学び、盗み、成長してほしい。ジェフサポ全員の総意でしょう。

 

47.新明龍太【2種登録】

天皇杯に登録され、試合終盤にデビュー。U-18の10番。わずかなプレー時間の中で、ボールを引き出す動きや推進力の高さを見せました。その後リーグ戦にも登録。苦しいチームを救う働きを見せられるでしょうか。

【ジェフ批評】2022第20節vsベガルタ仙台


連戦の最終戦は、ホームに首位・仙台を迎えての一戦となりました。

多数の仙台サポで埋め尽くされたアウェイ席は壮観でしたね。ある仙台サポの方がジェフの応援を褒めているようなツイートを目にしましたが、正直前半の途中くらいまでは仙台の応援の手拍子が圧巻でした。仙台サポに触発されて力が入ったジェフサポも少なくなかったのではないでしょうか。後半はジェフの応援の一体感を感じました。こうした雰囲気を毎試合作っていきたいですね。今週末には、鹿島と東京Vのホームで声出し応援の運営検証試合が行われますが、そうなるとよりサポーターの力が大きく関わってきそうです。

 

苦しいメンバー構成と4-4-2

今節のメンバーはある程度試合前の予想通りといったところでした。天皇杯には出場しなかった福満が復帰して、ワントップにはチアゴ。サブにはFWが4枚という構成。CBの控えがいません。

仙台は降格組だけあって、メンバーは豪華。若狭がサイドバックで活躍しているのはジェフサポからすると意外です。

 

ジェフは何か呪いにでもかかっているのでしょうか。前半早々にまたも負傷者を出してしまいます。鈴木大が筋肉系のトラブルの模様。控えにはCBがいないため、ブワニカを投入して4-4-2に布陣変更。左SBに入った福満は、あらゆるポジションをしっかりとこなしてくれる頼もしい選手です。

 

結果的にはそのブワニカと見木がゴールを挙げ、見事に仙台の攻撃を完封。完封はDF陣とGK新井章の力が大きかったのですが、急なフォーメーション変更にも見事に対応しました。

 

4-4-2でのゲームは久しぶりだったのですが、仙台も同じ布陣ということもあり、対応しやすかったのではないでしょうか。前半は仙台の遠藤が下がり目の位置でボールを触っていましたが、遠藤が交代してはっきりと2トップになったことで、逆にやるべきことが明確になったようです。しっかりとサイドハーフが絞って中を切り、外を回っているうちに試合が終わったという印象です。ただ、このサッカーを継続的にやるとなるとサイドハーフの負担がかなり大きくなりそうです。この試合では、見木と風間が最後までプレスバック含め奮闘してくれましたが、このポジションに疲労が出るとあっさり突破される可能性もあります。鈴木大や佐々木が早めに復帰するに越したことはないのですが、仮に長引いた場合、4バックの戦い方をもう少し整備する必要が出てきそうです。

 

 

ヤングプレイヤーの躍動

終盤にはU-18所属の矢口が出場。守備でいくつか素晴らしい対応を見せてくれました。こうしたチーム状況でなければ出番はないのかもしれませんが、それでも戦力として数えられることを示してくれた試合だったと思います。ボールを持った相手に対する守備対応とポジショニングはジェフの右サイドバックの中では一番かもしれません。攻撃面はまだほぼ機会はないのですが、どんなクオリティを持った選手なのでしょうか。

同じポジションの西久保もまだ高卒1年目。決勝ゴールのブワニカは高卒2年目で、櫻川ですらまだ3年目の選手です。西久保と同じ高卒ルーキーの佐久間もコンスタントにメンバー入りしていますし、若手の躍動から目が離せません。

 

アゴ起用法の最適解

加入後、なかなかフィットできなかったチアゴですが、長崎戦で初ゴールを挙げると、ここ2試合では得点こそないものの、全得点に絡む活躍を見せています。ワントップタイプでないことは当初からいろいろな方が指摘していましたが、ブワニカとのコンビが現状の最適解になるとは誰が予想できたでしょうか。

シュートの技術も高いのですが、サイドや低い位置で起点となる能力も高い選手です。

いわゆる偽9番と言われる形は得点力がある選手だからこそ生きる形なのですが、チアゴにもそうした特長が感じられます。ただ、速い展開のフィニッシュシーンになるとフィニッシャーの位置に入り込める選手が必要になり、その動きがなければ中央が空いて攻撃が詰まってしまうのですが、水戸戦のブワニカのゴール、仙台戦の見木のゴールはスペースを見事に使ったゴールでした。

周囲の理解も高まっているように感じますし、誰が出てもこのクオリティを発揮できるようになると、チームとしての力も上がっていきそうです。

 

 

 

 

次節はアウェイ甲府戦。いよいよ折り返し地点になりますが、今季はまだまだここからです。