KANEKOのジェフ雑談

ジェフを定点観測。戦術的だったり、スポーツ科学的だったり、叙情的だったり。

【ジェフ千葉】2022前半戦全選手寸評

前半戦を勝点30になんとか乗せて、8位で折り返したジェフ。上位チームでは山形、岡山が未消化の試合もあるものの、大混戦の今季にあってはまだまだ上位も狙える立ち位置です。もちろん、下も近いので気は抜けませんが。

 

ただ、ここまで多くの負傷者やコロナ感染を出しながらも、チームとして調子を上げてきているのは素晴らしいのではないでしょうか。

 

フィールドプレイヤーは2種登録の選手を除いて全員がリーグ戦のピッチに立ちました。

 

GK

1.新井章太

リーグ戦ではここまでフル出場。J2ではトップクラスのGKであることは言うまでもありません。至近距離でのセービングに優れており、ほぼ毎試合1点もののビッグセーブを連発。ビルドアップの意識も加入当初より高まっています。欲を言えば、ウイングバックの足元につけるようなフィードが見られると良いですが、それは無い物ねだりというもので、不満はありません。サポーターとの衝突もありましたが、最近ではかなり良い関係を築けているのではないでしょうか。

 

23.鈴木椋大

開幕時はセカンドキーパーとしてベンチ入りしていたのですが、負傷?でメンバーを外れるとその後は第3GKという立ち位置に。GKとしてはまだまだこれからという年齢の選手なので、もしかすると移籍も視野に入るかもしれません。昨年は新井の負傷時にチームを支え、開幕戦ではPKセーブもありました。良い選手なのですが、出場機会は欲しいですね。

 

31.松原颯汰

流経大柏で1年次からレギュラーを掴み、高卒で加入して2年目のGK。鈴木の離脱後はセカンドキーパーとしての立ち位置を確立し、天皇杯でプロデビューを果たしました。ビルドアップでの落ち着きと高いフィード精度があり、今後の成長に期待できる現代型GKです。身長は181cmと小柄なため、ハイボールの処理などには不安が残ります。

 

34.三宅龍人【2種登録】

昨年の白鳥に続いて、U-18からGKの2種登録。出番は余程のことがなければ来ないでしょうが、練習参加などで経験を積んで今後のキャリアにつなげてほしいです。

 

DF

6.新井一耀

ジェフで四年目を迎えたCB。以前は判断ミスから失点に繋がることがまあまあの頻度で起こっていたのですが、今季はここまで出色のパフォーマンス。CBながら4得点というのも素晴らしい数字です。守備能力もさることながら、攻撃時のフィードの質が判断が向上したことにより遺憾無く発揮されています。岡山戦を除いて全試合に先発しており、不動の地位を築いています。直近の甲府戦で負傷交代したことが気がかりですが、後半戦も大きな期待を寄せています。

 

11.米倉恒貴

ついにチーム最年長、34歳という事実に衝撃を隠せません。序盤戦は福満のバックアップという形で途中出場がメインでしたが、目立った活躍は見せられず、フィジカル系プレイヤーの年齢的限界を感じさせられました。しかし、岡山戦で先発出場を果たすと、全盛期を彷彿とさせるパフォーマンスを披露。攻撃面で推進力を加えてくれました。水戸戦の前半で負傷交代し、離脱中。

 

13.鈴木大輔

今季もキャプテンを務め、主に3バックの左CBとして出場。左足のスキルはそこまで高くはないため、ビルドアップで詰まってしまうこともありますが、守備対応は見事。若い選手の多いチームの精神的支柱としても欠かせない存在です。新潟戦の劇的ゴールには痺れました。が、こちらも仙台戦で負傷、離脱中。珍しくチームから負傷のリリースがあったのは、本人の希望でしょうか。

jefunited.co.jp

7月中旬頃までは不在を覚悟する必要がありそうです。

 

15.チャンミンギュ

序盤戦は本職のCBに加えて離脱者が多かったボランチでもプレー。一時期負傷でメンバーを外れましたが、復帰。天皇杯の試合後の監督インタビューで、WBとしてプレーする可能性について言及され、サポーターがざわつきました。展開力があり、自分でも持ち運べる選手ですが、攻撃面での特長は今季はあまり発揮できていない印象。総合的にスキルの高い選手ですが、昨季のプレーからするとまだ出来ると期待してしまいます。

 

22.佐々木翔

昨季の3バックへの移行から待ち望まれていた左利きCB。正確なフィード、パンチのあるミドルシュートプレースキックなど、高いキック能力を持った選手です。左利きCBが左サイドにいることでビルドアップもスムーズになり、攻撃を活性化させてくれます。やや調子の波があるように感じられますが、好調時のパフォーマンスは素晴らしいものを持っています。天皇杯金沢戦で前半に負傷、離脱中。CBの離脱が重なるのはかなり苦しいです。

 

26.西久保駿介

三菱養和から加入の高卒SB。デビュー戦となった2節・琉球戦では高い跳躍力を活かした空中戦で圧巻のプレーを披露。長い飛距離のロングスローも兼ね備えており、着実に出場機会を得ています。甲府戦では新井一の負傷でまさかの4バックのCBでプレー。守備時の対応にはまだまだ課題が残りますが、高いポテンシャルを持っていることは間違いない選手。大事に育てていきましょう。

 

33.ダニエルアウベス

謎の若手CB。ほぼ出場機会を得られていません。外国籍選手枠を使うほどの価値を示せていないというところでしょうか。コメントできることは今のところほぼ皆無ですが、このまま消えずに頑張ってほしいところです。

 

45.矢口駿太郎【2種登録】

第3節の山形戦を前に緊急で2種登録され、リーグ戦4試合に出場。このような状況とはいえ、ジェフで2種登録選手がこれだけ出場機会を得ているのはいつぶりでしょうか。わずかな出場時間ですが、守備で良いパフォーマンスを見せています。同じポジションに2年連続で高卒ルーキーを入れるのかという編成上の問題はありますが、トップ昇格にも期待がかかります。甲府戦でベンチ入りした翌日にはU-18の試合が前橋で行われ、そちらにも帯同して出場したようです。この試合でU-18はクラブユース選手権の全国出場を決めました。アカデミーから多くの選手がトップで活躍できると良いですね。

 

 

MF

4.田口泰士

今季も圧巻のパフォーマンスを見せ続け、キングの風格が漂ってきました。全てにおいてハイクオリティのボランチは、J2においては圧倒的な選手。プレーに関してはこれ以上ないという出来です。感情を露わにして相手選手に向かっていく場面が多いように感じますが、よく見ると自分がファウルを受けた時はほぼ怒らないのに味方が荒いプレーを受けるとすぐさま立ち向かっていく様は、モンキー・D・ルフィを彷彿とさせます。

 

5.小林祐介

出場機会はそれほど多くありませんが、今季もボランチの3番手として、田口・熊谷をバックアップしています。小林をベンチに置いておくというのはJ2では贅沢すぎる気もしますが、ベンチに小林が控えているという安心感はかなりのものです。昨季の印象は、狩れるけどそれほど繋げない選手といったところでしたが、今季はビルドアップの安定感も向上し、ボール保持時もしっかり顔を出してスムーズに展開しています。本人としては、もう少し出場機会を増やしたいところだとは思うので、後半戦はより競争を激化させるような活躍に期待です。

 

8.風間宏矢

 開幕直後はそれなりに出場を重ねていましたが、シャドーとしてなかなかフィット出来ずに一時期は完全に信頼を失ってしまいました。しかし、高木の負傷に伴って先発出場を重ねると、直近2試合ではサイドハーフとして素晴らしいパフォーマンスを見せました。やはり、本職はサイドの選手ですね。ただ、ゴールに直結する働きが出来る選手なので、得点が生まれればシャドーとしてより怖さを発揮できるかもしれません。

 

 10.見木友哉

 昨季の大エースは10番を背負った今季、なかなかコンディションを上げられていませんでした。ピッチでスリップする選手が非常に多い今季のフクアリにおいて、最もスリップしていたように感じます。今季は寮を出たようで、コンディションの問題か、あるいは別の問題があるのか。しかし、水戸戦でボランチの位置でプレーしての飛び出しで得点を挙げると、2試合連続のゴールを記録。思えば昨季も序盤は終盤ほどの活躍を見せたわけではありませんでした。偉大な漢の背番号を継いだ今季、まだまだ期待されるほどの活躍は見せられていません。ここからの巻き返しに期待がかかります。

 

14.小島秀仁

高い技術と類稀なセンスを持つボランチですが、序盤戦以外では出場、メンバー入りはありません。ジェフでのプレーも長くなってきましたが、なかなか活躍を見せられていないのはもどかしいところです。出場すれば得点に繋がる1本のパスを出せる選手なので、見たいと思う反面で、守備力に関しては不安があります。ただ、そこは構造次第でどうにでもなる問題でもあるので、活きる状況でプレーが見たいものです。

 

17.福満隆貴

ウイングバックとして不動の地位を築いているサイドプレーヤーです。ジェフの選手の中では、かなりの熱さを持ちながらも、冷静さを兼ね備えた選手です。ファーストタッチの技術が非常に高く、良い置き所からのクロスが武器の1つですが、今季はなかなか得点には繋がっていません。中の選手と噛み合えば、多くの得点を生み出せるはずなので、徐々にそんなシーンが見られるようになるでしょう。直近2試合では左右のサイドバックとしてプレーし、負傷者が多い状況の中で非常に貴重なユーティリティ性を見せています。

 

18.熊谷アンドリュー

昨季に引き続き、田口の相棒として安定したパフォーマンスを見せています。狩れて繋げるボランチだが前向きのプレーは少ない、という印象がありましたが最近は一発でのチャンスメイクも見せています。甲府戦の先制点は熊谷のパスが起点でした。攻撃に絡むプレーが増えれば、このダブルボランチを超える中盤はもはやJ2にはいないでしょう。後半戦はこれまで以上の無双を見せてほしいですね。

 

21.秋山陽介

ジェフアカデミー出身、期待の選手ですがここまでは左の末吉のバックアップとしてのプレーがメインになっています。攻撃、守備の両面で目立った活躍は出来ていません。3バックだとサイドの攻守全般を担うため、少し物足りない印象。4バックのサイドバックとしては安定したプレーを見せましたが、後半戦はもう少し攻撃的な、チャレンジのプレーを見たいです。

 

25.末吉塁

今季も左WBとしてプレーすると、攻め手の少ない序盤戦のジェフにおいて唯一の突破口になっていました。対面の相手を縦に突破してのクロスは多くのチャンスを生み出しています。オフ・ザ・ボールの質が高いわけではないので、ボールが入る前に封じられてしまうとなかなか良さが活きません。この部分が改善されれば、J2では止めようのない選手になれるはずなので、復帰後のもう一段階の覚醒に期待がかかります。

 

28.篠原友哉

開幕直前に加入が決まり、序盤戦でいくつかの出場機会を得ましたが、長い時間のプレー機会はありません。ジェフではMF登録でボランチでのプレーもありましたが、大学時代の印象はもう少しストライカー寄りの選手といったところです。推進力を持って戦える選手なはずなので、得点やそこに直結するプレーを後半戦、見せてほしいです。

 

32.髙橋壱晟

多くのサポーターが大きな期待を寄せて迎えた今季、序盤戦はなかなか出場機会を得られませんでした。東京V戦で今季初出場を果たすと、岡山戦の87分に投入、終了間際に劇的なゴールを挙げました。前半戦のジェフにおける最大のハイライトではないでしょうか。左右両足でのシュート技術の高さと、低い位置から危険なエリアに侵入する能力の高さが大きな武器です。ここから一気に活躍をしていくと誰もが期待を寄せたのですが、翌秋田戦、相手選手のラフプレーによって鎖骨骨折の重傷。離脱中です。練習風景では復帰は意外と近そうなので、鬱憤を晴らすパフォーマンスを期待しています。

 

50.桑原晃大【2種登録】

FW新明と共に登録も、トップチームでのメンバー入りはなし。今は田口、熊谷、小林が揃っていますが、ボランチはもともと負傷の多い選手たちではあるので、場合によっては機会があるかもしれません。

 

FW

9.川又堅碁

昨季は負傷で出場がなく、退団が濃厚かと思われましたがまさかの残留。徐々にメンバー入りの機会を増やすと、わずかな時間ではありましたが公式戦への復帰を果たしました。負傷前の輝きを取り戻せば間違いなく相手にとって怖い選手ですし、ここからの大復活に期待せずにはいられません。

 

19.サウダーニャ

昨季は主にジョーカー的な立ち位置だったサウダーニャは、今季は期待ほどの出場を重ねられていません。カウンターで運んでいくドリブルにはワクワクするのですが、押し込んでいる状況での判断には課題が残ります。まだ若い選手なので、これからの成長に期待です。

 

20.高木俊幸

セレッソから加入したシャドーストライカー。スピードと技術があり、決定力もあります。船山が退団し、見木の相方が定まらない序盤でしたが、徐々に信頼を獲得してこのポジションの一番手に。裏への飛び出しから相手を引っ張れるので、周囲にもスペースを与えられる選手です。負傷からの復帰も近いと思われるので、フィットしてきた風間とのポジション争いも後半戦の楽しみです。

 

27.チアゴ デ レオンソ

遅れてやってきた助っ人。満を持しての加入からしばらくはフィット出来ず、サポーターの多くも高い評価はしていませんでした。櫻川に代わって出場を増やしたわけですが、合流当初は同じタスクを与えられ、なかなか輝けませんでした。ですが、周囲からの理解も高まり、徐々にフィットしていくと、周囲を活かしながら多くの得点を演出しています。当然、サポーターも手のひらを返しました。自身の得点は少ないですが、周囲の得点を引き出せる選手は貴重です。後半戦も、多くの得点を演出していただきましょう。

 

29.佐久間太一

アカデミーから昇格1年目のFW。ここまで、予想していた以上の出場機会を得ています。とはいえ、時間が短く攻撃に絡む機会は少ないのですが、甲府戦ではポテンシャルの片鱗を示しました。やはりFWなのでゴールに絡むプレーを見せれば、これまで以上の出場機会を得られるはずです。

 

37.ブワニカ啓太

昨季開幕戦の衝撃デビューから1年、気づけば完全に出場機会を失ってしまっていました。しかし水戸戦で先発出場すると、見事な左足ボレーで今季初ゴール。勢いそのままに3試合連続ゴールを挙げています。シュークリームパワー、恐るべし。CFの近くでのプレーに特長があり、決定力を兼ね備えたセカンドトップというイメージです。そのため、ワントップ起用の際にはなかなか武器を発揮できませんでした。最近のプレーには迷いがなく、貪欲さを感じます。こうしたプレーは見ていて本当に気持ちが良く、ワクワクさせられるので、好調を後半戦も維持して真の覚醒に至ってほしいと思います。

 

40.櫻川ソロモン

昨季後半戦はレギュラーを獲得したのですが、今季途中からはベンチ生活。覚醒待ちの状態です。同世代の選手たちがJ1で活躍し始めている中、世代別代表からも遠ざかってしまっています。高いポテンシャルを育成年代から評価されながらも、なかなかプロでは結果を示せていません。とはいえ、まだ3年目。小さなきっかけ一つで大きく変わる年齢です。アカデミー出身でクラブの宝でもあるので、しっかりと育てきってほしいものです。ロングボールを収める能力に長けており、長身選手ながら足元のプレーも得意としています。課題は動き出しの質の部分。熊本戦のDAZN解説だったレジェンド・巻誠一郎氏が指摘していた部分が改善されれば、得点も増えるでしょう。その点では、川又の復帰は好材料かもしれません。百戦錬磨のストライカーから学び、盗み、成長してほしい。ジェフサポ全員の総意でしょう。

 

47.新明龍太【2種登録】

天皇杯に登録され、試合終盤にデビュー。U-18の10番。わずかなプレー時間の中で、ボールを引き出す動きや推進力の高さを見せました。その後リーグ戦にも登録。苦しいチームを救う働きを見せられるでしょうか。