KANEKOのジェフ雑談

ジェフを定点観測。戦術的だったり、スポーツ科学的だったり、叙情的だったり。

【ジェフ批評】2022第16・17節vsブラウブリッツ秋田・ロアッソ熊本

 

vs秋田

前節、髙橋の劇的なゴールで勝利を収めたジェフは、再びホームフクアリで秋田を迎えました。

 

アゴの継続、負傷者続出のメンバー選考

先発メンバーは前節をベースに、チャンが負傷で欠けたところに新井一が入りました。

ベンチには久しぶりに西久保と櫻川が入りましたが、試合前のユン監督のコメントから察するに、櫻川は戦術的な理由でメンバーから外れていたようです。やはり、ユン監督がCFに最優先で求めるものは得点なのでしょうか。ただ、櫻川の起用時にはポストプレーヤ守備での貢献度が高く、その部分がタスクとして求められているように感じます。構造的には、櫻川が点を取れる形にはなっていないようには感じるのですが、得点が少ないのは事実です。大きなポテンシャルを秘めていることは間違いないとは言え、もう3年目のシーズン。理不尽に得点を奪える能力を身につけてほしいものです。

その点で、得点により近いのがチアゴということでしょう。ただ、チアゴもここまでノーゴール。戦術にフィットしているとも言い難い状況です。

 

この試合でメンバー外となったチャンは松葉杖をついていたようですし、熊谷、髙橋が負傷での交代。前半のみで代わった米倉や、佐々木の状況も気になるところです。

 

 

運と実力

サッカーは、ある程度運の要素が大きいスポーツだと私は考えています。結果を左右する運と実力のうち、トレーニングによってどれだけ運の占める部分を小さくできるかが、そのチームの強さだと思います。ジェフの今の実力は、前節の岡山戦からもわかるように、ファイナルサードまで押し込んでチャンスを作れる相手からも90分で一点取れるかどうか、というところでしょう。今節もかなり相手を押し込みましたが、フィニッシュに持っていく形は定まっていないようです。特に、サイドから深い位置への侵入はイメージがあるのですが、そこからフィニッシュに繋がりません。チアゴがサイドに流れる場面が多く、中央が手薄になってしまいます。それでもいくつかチャンスはあったのですが、決めきれず。今の力では、取れる試合もあれば取れない試合もあるでしょう。

失点シーンに関しても、正直に言えば運の要素が大きい失点だったと思います。押し込むことで、負ける可能性の低い試合にはできていましたが、10回やれば2、3回は負けるような試合だったのではないでしょうか。さらに言えば、前半の熊谷の脳震盪での交代や髙橋の交代など、采配も不運で苦しかったでしょう。西久保のCB起用はできれば避けたいオプションだったのではないでしょうか。

 

問題は決めきれなかったというこのゲーム内の部分よりも、決めきるだけの攻撃を構築できていないことです。この部分が改善されなければ今節のような試合は増えてしまいます。

 

 

例のプレーについて

試合後、SNSを騒がせたのは結果よりもラフプレーについてでした。秋田の武と髙橋が交錯したシーンは、かなりショッキングな映像でした。このプレーで髙橋は鎖骨骨折の重傷。前節今季初ゴールを挙げ、ここからというタイミングだっただけに悔しいでしょう。サッカーは身体的な接触のあるスポーツなので、そうしたシーンが生まれてしまうことは必然かもしれません。ですが、その後の振る舞いに関しては到底受け入れがたいものでした。試合後、秋田の公式からリリースがありましたが、一組織として心配になる程お粗末な内容のリリースでした。選手を守ることはクラブの責任ですが、選手からのコメントやクラブからの謝罪を出すことでこそ選手を守れることもあるでしょう。今回のリリースも、火に油を注ぐ形となってしまいました。

もちろん誹謗中傷はあってはならないことなのですが、事実に対する批判はあるべきです。それに対して問題をすり替えるような対応は不誠実だと受け取られますし、プロクラブとしては恥ずべき事態です。今回の件についてこれ以上事を荒げる必要はないと思いますが、他クラブが同じような立場に立った時、どのように対応していくべきかの反面教師となったのではないでしょうか。

 

 

 

vs熊本

負傷者が相次ぐ中で迎える連戦の初戦はアウェイ熊本です。天皇杯も含めるとかなり厳しい連戦になるのではないでしょうか。天皇杯に向けてはジェフは2種登録選手をさらに2名追加しているようですが、それでもこの連戦は難しいものになりそうです。

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ワントップ問題

ジェフは、前節脳震盪の疑いで交代した熊谷が元気に先発。ボランチの相方には田口が久しぶりに復帰。やはりボール保持のフェーズにおいてはこの二枚の安定感はかなり頼もしいです。右WBには福満が先発、CFには櫻川が復帰しました。ベンチにはアウベス、川又、ブワニカとしばらくメンバーから遠ざかっていた選手たちが復帰。負傷者が多い影響も感じられますが、それでもベンチに小林や風間を置いておけるのは贅沢ですね。

熊本はアンカーの河原が素晴らしい仕事をしていました。若手で汗のかけるボランチが今のJ2には多い印象がありますが、今後ステップアップしていく選手ではないでしょうか。

 

ジェフのワントップの人選についてはなかなか定まらないところではありますが、川又が試合に出場できるレベルであれば良い競争になるのではないでしょうか。

 

 

その川又は、わずかなプレー時間でしたが久しぶりに公式戦のピッチに立ちました。ボールに絡む機会はほとんどありませんでしたが、ゴール前への飛び込みには迫力があり、得点の匂いを感じさせる選手です。

先発した櫻川は、後半に決定機を迎えましたがノーゴール。DAZN解説の巻氏の指摘する通り、クロスに対する動きの単調さが目立ってしまいました。櫻川は、ユース所属時代に18番を背負っていたこともありますし、巻氏へのリスペクトを持っている選手なのではないでしょうか。試合中のコメントから櫻川に対する期待は感じられましたが、その期待に応え、フクアリを幾度となく沸かせた巻誠一郎を超える存在になってほしいものです。

 

 

武器の少なさ

ボールを支配しながらも決めきれず、ワンチャンスを決められるという構図は今期だけでもかなり見ているのですが、仕留められない要因はボール保持時の武器の少なさではないでしょうか。単独で突破できるのは左の末吉だけで、二枚で対応されなかなか良い形を作れず。右の福満がインサイドを取って裏を高木が抜けたり、福満がワンツーで突破する形もありますが、中への侵入を阻止されてしまいうまくエリア内に侵入できません。相手に引かれた際には田口のミドルもありますが、得点にそう簡単につながるものではありませんし、相手を引き出したところで次の矢があるわけでもありません。あとは決定力というところまで仕上げられているかというと、そうとも言い切れないのが現状です。なんとなくボールを支配して押し込んではいるものの、得点に結びつけるための決定的な部分の構築ができていないのでしょう。

なんとかセットプレーで同点に追いつきはしましたが、フィニッシュから逆算した攻撃の構築が必要なのではないでしょうか。

レーニングの賜物なのか、それとも選手の即興かはわかりませんが、エリアに近い深い位置を取る連携には長けてきたように感じられる一方で、その崩しに人数を割きすぎてフィニッシャーがいないシーンが多くなっています。なんとももどかしい攻撃が続いていますが、あと一歩のようにも思えます。フィニッシュシーンを増やすことで得点も必然的に増えるはずなので、その部分のクオリティが整備されれば悲観する内容ではないでしょう。

 

 

次節は中3日で連続九州アウェイの長崎戦。メンバーの構成も含めて苦しい連戦になりますが、引き続きサポートしていきましょう!