KANEKOのジェフ雑談

ジェフを定点観測。戦術的だったり、スポーツ科学的だったり、叙情的だったり。

【ジェフ批評】2022第14節vs徳島ヴォルティス

 

試合の内容に入る前に。

先日、ジェフの歴史における偉大な存在であるイビチャ・オシム元監督がご逝去されました。私自身は2000年生まれなので彼の時代の記憶はほとんどありませんが、ジェフにハマったきっかけは間違いなく彼がクラブに残したものでした。2007年のアマル監督時代から定期的に見始めたのですが、翌2008年の最終節。FC東京戦が私の人生の大きなターニングポイントでした。今思えばサッカーのスタイルはオシム時代とは全く異なるものでしたが、オシムチルドレンと呼ばれる選手たちの代表格である巻誠一郎の姿に胸を打たれたことを記憶しています。

私のような若輩者が語るには偉大すぎる存在であることは重々承知していますが、彼がいたからこそ今の私の在り方に繋がっていると強く感じていました。彼が確立したジェフのアイデンティティは今のクラブには見る影もないのかもしれませんが、これから先、いかにクラブのアイデンティティを確立していくかを考え直す機会ではないでしょうか。どんな形であれ、闘うクラブの姿を取り戻していくために支え続ける存在でありたいと思います。

 

とはいえ、現在の選手たちや監督、コーチ陣がオシム氏のことまで背負う必要はないと思います。今には今の、ジェフの形がある。その形を応援していきたいものです。

 

西部謙司著「犬の生活 Jリーグ日記」を拝読しながらジェフの歴史とユン就任一年目のシーズンを思い出し、ジェフの未来へと想いを馳せて。今季のジェフに、期待を込めて。

 

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vs徳島

選手起用の変化

前節大分戦ではなす術なく完敗。今節に向けてはメンバーの変更も示唆していたユン監督でしたが、蓋を開けてみると思ったよりも大きな変化はメンバー上は見られませんでした。ただ、ここで付けた変化はこれまでの傾向からすると意外なところもありました。まず、今季初めて福満を先発から外しました。ベンチにも入らなかったところを見ると、負傷の可能性もありますが、昨シーズンから不調時も起用し続けたアンタッチャブルな存在に見えた福満の不在は大きな変化でしょう。代わって右WBには末吉を起用しました。右WB候補はこの2名はじめ、米倉、西久保がいますが、どの選手もWBとしての役割には不安要素があります。そもそもWBへの負担が大きいシステムではあるのですが。そして、シャドーの位置にはサウダーニャを起用。今季の先発時はCFだったのですが、スタートからチアゴとの縦関係を選択しました。過去2シーズン含めて、多くの試合でユン監督はポストプレイヤー型の(あるいはその役割がこなせる)選手を好みCFに起用してきました。もしかするとユン監督のオーダーはチアゴポストプレーを求めていたのかもしれませんが、彼はポストプレイヤーではなさそうですし、サウダーニャと起用することでより地上戦で素早く攻めようとすることは予想できることだったのではないでしょうか。結果論か狙いかはさておき、この辺りも大きな変化でしょう。

さらには試合終盤、リードしている展開以外では一度もベンチに下げなかった見木と、ここまでフル出場中のキャプテン鈴木を交代でベンチに下げました。どちらの選手も、今季は開幕から好調とは呼べない状態の中で使い続けていましたが、ここに来て(終盤の交代とはいえ)選手起用の変化が見られました。

前節20分ほどの出場にとどまった田口のHT交代も含め、序列の変化やユン監督自身の意識の変化があるのでしょうか。連戦の最後となる次節の選手起用はどのようなものになるか、注目です。

 

ハマらないプレスとCF問題

徳島は、しっかりとボールを握るスタイル。今季の失点数が少ないため、堅守型のチームと思われがちですが、むしろ相手を押し込むことで守備のシーンそのものを少なくしている印象です。中盤底の櫻井がくまなく顔を出し、やや右偏重の変則的フォーメーションから左は西谷の突破力を活かす形。櫻井は2002年生まれの19歳。神戸からレンタルの選手。大分の弓場といい、若手ながら存分に存在感を発揮している選手がJ2には多いですね。ジェフの若手にも奮起してもらいたいところです。ジェフの期待の若手といえば櫻川ですが、ここのところベンチからも外れています。ベンチには佐久間が前節から入っていますが、CFの序列は気になるところ。明確にCFの選手は、川又、櫻川、チアゴ、佐久間の4名で、ここにシャドーも出来るサウダーニャが加わって起用されています。負傷から公式戦に復帰していない川又はひとまず置いておいて、ここまで多くの試合では櫻川が先発起用されています。しかし、肝心の得点面が不足。CF候補の中では、櫻川とサウダーニャが1点ずつ。他の選手にゴールはありません。今節はチアゴが先発起用されましたが、まだまだ守備のタスクに対する理解度は低い様子。サウダーニャは気まぐれプレスで守備に穴を開けてしまうことも。この両名を同時起用することで、徳島CBは自由に持ち出して中盤を制圧することが容易になってしまいました。

今のチーム戦術の中で、前線の守備は必須であり、そこに穴が開くと後ろが崩壊するのは時間の問題となります。守備で押し込まれ続けるとそもそも攻撃の機会はないので、攻撃力は二の次となります。以上を踏まえると、ボールを保持する相手には櫻川。押し込める相手には別の選択肢も出てくるかもしれませんが、決定打はなし。という印象です。ちなみに、ボールを保持する相手に対しては当然シャドーの守備意識も重要です。櫻川の起用時には、ある程度コースを制限してもシャドーが連携しきれずに押し込まれるシーンが散見されます。そこは櫻川の問題というよりはチーム全体の構造の問題でしょう。

いずれにしても、不足しているのは得点力。櫻川の覚醒でも、チアゴやサウダーニャの爆発でも、川又の完全復活でも構いません。点が取れなければファンは楽しくありませんからね。

 

 

GWもあっという間に終わり、連戦も最終局面です。次節、ホームフクアリで次に繋がる何かと勝点3を掴み取りましょう。